小噺ショート
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いい人は成功できない!?【ショートショート】

佐藤直哉(Naoya sato-)
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優しさの裏に隠された策略

タナカは誰にでも親切だった。

困っている同僚を助け、上司の無茶な要求にも笑顔で応じる。

そんな彼の評判は、会社中で「いい人」として定着していた。

ある日、新しいプロジェクトのリーダー選出があり、タナカはひそかに期待していた。

しかし、選ばれたのは冷酷な同僚、スズキだった。

スズキは結果だけを求めるタイプだ。

タナカは落胆しながらも、気を取り直してスズキをサポートすることに決めた。

プロジェクトは順調に進んでいたが、スズキの計画ミスで大きな問題が発生。

タナカは夜遅くまで残り、何度もスズキを助けてなんとかプロジェクトを軌道に乗せた。

最終的にプロジェクトは大成功を収め、会社はスズキを表彰し、昇進させた。

タナカは内心少しだけ不満を感じたが、またいつものように笑顔で仕事を続けた。

その夜、タナカはスズキからの電話を受けた。

酔ったスズキは言った。

「君がいなければ、この成功はなかった。でも、いい人は成功できないんだよ。だから僕が選ばれたんだ」

タナカは電話を切り、静かに笑った。

「君がリーダーでいてくれるおかげで、僕は裏で自由に動ける。次も頼むよ、スズキさん」と心の中でつぶやいた。

全てはタナカの計画通りだった。

スズキの無能さこそが、彼の成功の鍵だったのだ。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
このサイトでは、歴史の中に埋もれた謎や、日常でふと引っかかる“気になる話”をもとに、雑学記事、4コマ漫画、風刺ショートショートとして発信しています。
テーマはちょっと真面目。
でも、語り口はすこし皮肉で、たまにユーモア。
「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
──そんな話を集めて、掘って、遊んでいます。
読んだ人の中に“ひとつくらい、誰かに話したくなる話”が残れば嬉しく思います。
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