小噺ショート
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願いの代償【ショートショート】

佐藤直哉(Naoya sato-)
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欲望の代償、決して逃れられない罠

山田誠はふと立ち寄った古びた骨董店で、一つの指輪を見つけた。

棚の奥に光るそれを手に取ると、店主のじいさんが「この指輪は願いを叶えるが、代償がある」と警告してきた。

しかし、誠は「まあ、なんとかなるさ」と軽く考えた。

「お金が欲しい!」と願うと、財布がパンパンに膨れ上がった。

しかし、愛用のペンが消えた。

「ペンくらいならいいか」と誠は笑った。

次に「昇進したい!」と願い、豪邸を手に入れた。

しかし、そのたびに友人や家族が一人ずつ消えていく。

「これってヤバいかも」と感じ始めたが、欲望は止まらない。

最後の願いを叶えた瞬間、誠の体が薄れていった。

「もう何も残ってない…」と呟くと、周りは静寂に包まれた。

目を覚ました誠は、再び骨董店にいた。

指輪を見つめ「やっぱり買うのはやめよう」と店を出た。

しかし、ポケットに指輪が入っていることに気づき、凍りついた。

その時、店主が再び現れ「おや、それを手に入れるとは、君は特別な客だね」と微笑んだ。

誠は絶望の中で乾いた笑いを漏らした。

「もう、何も願わないさ…」

店主はにやりと笑い「それが一番賢い願いかもしれないね」と囁いた。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
このサイトでは、歴史の中に埋もれた謎や、日常でふと引っかかる“気になる話”をもとに、雑学記事、4コマ漫画、風刺ショートショートとして発信しています。
テーマはちょっと真面目。
でも、語り口はすこし皮肉で、たまにユーモア。
「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
──そんな話を集めて、掘って、遊んでいます。
読んだ人の中に“ひとつくらい、誰かに話したくなる話”が残れば嬉しく思います。
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