小噺ショート
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桜の木の下の小さな冒険【ショートショート】

佐藤直哉(Naoya sato-)
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過去と未来が交差する、心温まる春の日

晴れた春の午後、公園のベンチに座ったミカは、目を閉じて鳥のさえずりに耳を傾けていた。

桜の花びらが舞い、子供たちの笑い声が心地よく響く。

「ねえ、おばあちゃん、何してるの?」

小さな男の子が興味深げに尋ねた。

「昔話を思い出してるのよ」とミカは微笑んだ。

彼女の目は優しく、遠い記憶をたどっていた。

「どんな話?」

「ここで友達と宝探しをしたの。あの大きな桜の木の下に、宝物を埋めたのよ。でも見つけられなかったの」

「僕も探してみたい!」

ミカは男の子の手を取り、立ち上がった。

「じゃあ、一緒に行ってみましょうか?」

二人は桜の木の下に向かい、小さなスコップで地面を掘り始めた。

男の子のスコップが何か硬いものに当たった。

「おばあちゃん、見つけた!」

それは小さな錆びた缶で、中には色あせた手紙と古いコインが入っていた。

ミカの目に涙が浮かぶ。

「これが宝物よ。君もいつか素敵な冒険を見つけられるわ」

男の子は笑顔で頷いた。

「そうだね。僕もいつか、こんな冒険をしたいな」

ミカは桜の花びらが舞う空を見上げた。

「未来は君たちの手にあるのよ。大切にね」

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
このサイトでは、歴史の中に埋もれた謎や、日常でふと引っかかる“気になる話”をもとに、雑学記事、4コマ漫画、風刺ショートショートとして発信しています。
テーマはちょっと真面目。
でも、語り口はすこし皮肉で、たまにユーモア。
「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
──そんな話を集めて、掘って、遊んでいます。
読んだ人の中に“ひとつくらい、誰かに話したくなる話”が残れば嬉しく思います。
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