妄想の檻【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
アキラは窓から広がる無限の宇宙をぼんやりと見つめた。
「新しい始まりだね、アキラ君」と、隣でノートに熱心にメモを取っていたエミが笑った。
「未知の世界が待ってるんだよ!」
新惑星に到着した二人は、その独特な環境に驚きながらも、新たな生活に挑戦した。
エミは奇妙な植物に夢中になり、アキラは技術的な挑戦を始めた。
ところが、ある日突然、コロニーに異常事態が発生。
エネルギー供給システムが故障し、全てが暗闇に包まれた。
「もう、終わりかもな…」とアキラは思いながらも、エミと共に新種の植物の解析を続けた。
彼らはその植物がエネルギーを生成する驚異的な能力を持つことを発見し、コロニーの希望となる解決策を見つけた。
だが、その植物には恐ろしい秘密があった。
知性を吸収する特性があり、地球に持ち帰られると文明を崩壊させる可能性があると判明したのだ。
「救いが破滅を招くなんて…」とエミは呆然とつぶやいた。
アキラは遠くを見つめ、「希望ってやつは、時に恐ろしい代償を伴うもんだな」と苦笑した。
その背後で、植物が静かに成長を続けていた。