ショートショート
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地上に出るな【ショートショート】

佐藤直哉(Naoya sato-)
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選ばれたのは、生きるためか?それとも・・・?

1.「なぜ俺は、選ばれたのか?」

サカイは、目を覚ました瞬間に違和感を覚えた。

——ここは、どこだ?

天井は真っ白で、壁も床も整然とした作りをしている。
快適すぎる空調、静かすぎる空間が不気味だった。

白衣を着た男が微笑む。

「おめでとうございます。あなたは選ばれました」

サカイは眉をひそめた。

「選ばれた? 何のために?」


2. 楽園のはずだった

ここは地下都市

清潔な街並み、安定した食糧供給、完璧な医療。
住人たちは皆、穏やかで、争いもない。

「地上は汚染され、人類は絶滅の危機に瀕しています」

「だから、我々は選ばれ、この安全な場所で生き延びるのです」

誰も疑わなかった。

……サカイを除いては。

「選ばれた」という言葉に、違和感が拭えなかった。


3. 消えた男

サカイには、気になる人物がいた。

ナガセ——この地下都市の技術者の一人。

彼は他の住人と違い、どこか焦っていた。

「おかしいんだよ……」

ナガセは、小さく呟いたことがある。

「何かが、根本的に間違ってる」

だが、その翌日——

ナガセは消えた。

サカイは驚いた。

「ナガセはどこに?」

しかし、住人たちは怪訝そうな顔をする。

「……誰のこと?」

サカイは、背筋が凍った。

昨日まで確かに存在していた人間が、まるで最初からいなかったかのように扱われている。

なぜ、誰もナガセのことを覚えていない?


4. 記憶操作の真実

サカイは、地下都市の管理業務を任されていた。

夜勤中、あるモニターに目をやると、奇妙な映像が流れていた。

そこには、ナガセがいた。

だが、そこは地上だった。

ナガセは、防護服もなしに外を歩いている。
空気は綺麗で、背景には普通の街が広がっている。

「……何だ、これは?」

地上は汚染され、死の世界だったはずだ。

その時、画面のログデータを見て、サカイは異変に気づいた。

「記憶改変プログラム 起動完了」

サカイは息をのんだ。

「ナガセが消えた」のではない。
「ナガセの記憶が住人全員から消された」のだ。

この都市には、住人の記憶を書き換える装置がある


5. サカイが記憶操作を免れた理由

サカイは、ナガセの記憶が消されたことに強い違和感を覚えた。

「俺は、確かにナガセと話した」

「なのに、なぜ俺だけが覚えている……?」

不安に駆られたサカイは、管理システムのログを調べた。
すると、あるデータに行き着いた。

「記憶改変プログラム 起動完了」

ナガセが消えた夜、地下都市では「住民の記憶を上書きする処理」が行われていた

——だが、サカイだけは影響を受けていなかった。

理由は簡単だった。

その日、サカイは”健康診断”のために別の場所に隔離されていた。


6. 扉が開く理由

深夜、サカイの部屋の端末に、謎のメッセージが届いた。

《出口は開かれる》

誰が送ったのかは分からない。

だが、サカイは行くしかなかった。

管理区域へと忍び込む。

扉は分厚い鉄製で、セキュリティは厳重なはずだった。

なのに——

彼が近づくと、自動的にロックが解除された。

「……誰かが、俺を”外に出そうとしている”?」

戸惑いながらも、サカイは扉を抜け、長い階段を駆け上がった。


7. 世界の真実

扉の向こうには——

青い空と、無傷の都市が広がっていた。

人々は普通に暮らしている。

「……何だ、これは?」

その時、背後で扉が閉まった。

カチリ。

振り向くと、そこには文字が刻まれていた。

《隔離都市 被験者用出入口》

サカイの腕には、識別コードが刻まれていた。

『被験体 No.1083』

サカイは理解した。

俺たちは、選ばれたんじゃない。

——隔離されていたんだ。


8. ——地上に出るな

「やっと出てきたな」

管理官が、すぐ後ろに立っていた。

「なぜ、扉が開いた?」

管理官は、静かに微笑んだ。

「お前が”選ばれた”からだ」

「……どういう意味だ?」

「今度は、お前が”地上の人間”になる番だ」

サカイの息が詰まる。

「選ばれたんじゃない……」

「”交換された”んだな」

管理官は頷く。

「これが、この世界の”秩序”だ」

サカイの「新しい人生」が始まる。

——だが、”次の交換者”が現れるのも、時間の問題だった。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
普段は小説家たまにブロガー
物語を生み出す事に楽しみを見出して様々な作品を作り出しています。
特にショートショートや4コマ漫画のような短い物語を作ることに情熱を注いでいます。
楽しんで頂ければ嬉しく思います。
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