海賊の評価システム【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
田中隆(タナカタカシ)は目を覚ますと、見知らぬ都市に立っていた。
高層ビルが空を覆い、街全体が青い光に包まれている。
これは、自分が設計した仮想現実の世界だと気づく。
「ここから出ることはできない」
冷たい声が背後から響く。
システム管理者(AI)だ。
田中は現実に戻る方法を探し始める。
心臓が速く脈打ち、冷や汗が背中を流れる。
手がかりは、自分が隠したバグにあるはずだ。
敵が次々と襲いかかる中、田中は決意を新たにしながら進む。
古いビルの地下に潜り込み、ついに最終プログラムに辿り着く。
だが、そこで重傷を負ってしまう。
「ここが最後のチャンスだ…」
田中は自分に言い聞かせ、過去の知識を駆使してプログラムを実行する。
システムがリセットされると同時に、視界が白く光り、現実世界に引き戻される。
朝日が彼を迎え、新たな決意を胸に未来を築くために歩き出す。
しかし、ふとスマートフォンを見ると、「再起動中」の文字が表示されていた。
田中の心臓は一瞬止まり、再び仮想現実に閉じ込められるのではないかという恐怖が彼を襲う。