フレンドリーなロボット【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
「いらっしゃいませー!今日はポジティブ、どのくらい補給されます?」
通りがかりの俺に、やたらと明るい声が飛んできた。
店を見上げると、派手な看板が目に入る。
「ポジティブ補給所」
その下には目立つ文字で、
「ネガティブ疲れに、即効補充!」
睡眠不足でフラフラだった俺は、吸い寄せられるように店の中へ入った。
カウンターには、どこか胡散臭いメニューが並んでいる。
「…じゃあ、一番安いので」
気づけば口が動いていた。
店員は笑顔で小さなカプセルを手渡してきた。
「これを飲めば、ポジティブな気分が戻りますよ!」
半信半疑で飲み込むと、頭がふわっと軽くなる感覚。
が、それだけじゃなかった。
どこからか赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。
背中には妙な汗がじっとり。
「これ、副作用とかあるんですか?」
「副作用? ありますよ」
店員はさらりと言う。
「ネガティブを消化しきれないと、自分の中に詰まって、歪み始めますからね」
…どういう意味だ?
その瞬間、背後から声がした。
「おい、いい加減寝ろよ」
振り向くと、そこには俺そっくりの影が立っていた。
だが、その目は疲れ果て、声は底冷えするほど冷たかった。
「な、なんだよお前…!」
分身が私をじっと見つめ、一言だけつぶやいた。
「お前のポジティブなんか、寝れば全部戻るんだよ」
その瞬間、目が覚めた。
時計を見ると午前3時。
ベッドの中だ。
夢か? いや、妙にリアルだった…。
唯一わかったのは――。
「寝不足を解消する近道? そんなの、布団しかないだろ!」