駅で拾った約束【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
「深い眠りには“適度な疲労”が必要です」
医者の言葉を聞いた瞬間、私は悟った。
「適度な疲労?なら、余計な疲労を全部カットして、必要な分だけ効率よく疲れればいいんだ!」
そう思った私は、『完璧な疲労』を作る方法を探し始めた。
エピソード1:身体的疲労
まずは運動で疲れることを目指した。
結果——。
「体が痛くて逆に眠れない!」
エピソード2:精神的疲労
次に挑んだのは、頭をフル回転させる方法。
結果——。
「脳みそが覚醒して眠るどころじゃない!」
エピソード3:感情的疲労
それでもダメなら、感情を使うしかない。
結果——。
「泣き疲れたはずなのに、ベッドで余韻に浸りすぎて眠れない……」
最終的に私は、普通に仕事を続けることにした。
いつもの上司、いつもの残業、いつもの終わらないタスク。
その夜、私は布団に倒れ込むと同時に意識を失った。
翌朝、私は気づいた。
「疲労って、努力して作るもんじゃない。社会が勝手にくれるもんなんだな……」
会議中、眠気と闘いながらこう呟いた。
「結局、“適度な疲労”なんて、残業と同義だったんだよ」
隣の同僚が一言。
「お前、今、会議中寝てたけどな」