最後に折れるもの【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
博士は研究室で腕を広げた。
「さあ、見ろ!これが“究極のやりがいブースター”だ!」
机の上にあるのは、ヘルメット型の装置。
怪しく光るランプ、そして『安全』の文字が手書きで貼られている。
無職の男たちは、互いに顔を見合わせた。
「博士、それ本当に安全なんですか?」
「ああ、これを被れば、働くことの喜びで全身が満たされるぞ!」
「博士が試したんですか?」
「いや、私は…ほら、研究を監督する立場だから!」
博士の視線は泳いでいる。
男たちの眉が一斉に跳ね上がった。
それでも装置を装着することになった。
スイッチが入ると、スクリーンに映像が流れ始めた。
「どうだい?やりがいが湧き上がってきただろう?」
博士は満足げに腕を組む。
男たちは装置を外し、拳を握りしめて立ち上がった。
そして口を揃えて叫ぶ。
「湧いたぞ!やる気が!」
「素晴らしい!」
博士は満面の笑みを浮かべる。
「だから、俺たちでお前の職を奪う!」
博士の笑顔が引きつる。
「ちょ、ちょっと待て!やりがいの方向性が違う!」