知能を持つ植物【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
なぜ、会社のCEOと大学生が六歳児のお菓子を巡ってじゃんけんをしているのか。
それは、誰も想像していなかった展開だった。
CEOはお菓子の「最適な分配法」を、大学生は「公平な理論」を持ち出して議論が白熱。
だが、問題がややこしくなる一方で、六歳児はじれた顔で提案した。
「じゃんけんで決めようよ!」
あまりにも単純な提案に、大人たちは一瞬黙り込んだが、結局それに従うことに。
結果は、六歳児の圧勝。
「こんな…分析が…役に立たないとは…」とCEOは唖然とし、大学生はショックで理論が吹き飛んだ顔。
「ねえ、二人とも、もしかして“じゃんけん”やったことないの?」と六歳児が首をかしげ、無邪気に笑うと、二人はただ無言で立ち尽くした。