時空の代償【掌編小説】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
登場人物:
(タクヤとユキが、雨が降る中、ユキの家の前に立っている。)
(傘を差しながら)大丈夫か?
(静かに、そして少し悲しげに)タクヤ、もう会えないかもしれない。
(驚き、不安を隠せずに)どういう意味だ?
また明日会おうよ。
(微笑みながら、しかし目には深い悲しみ)それは無理かもしれない。
でも、今夜は本当にありがとう。
(混乱しつつも心配して)ユキ、何かあったのか?
何で会えない?
(静かに後ずさりしながら)時間が来たみたい。
さよなら、タクヤ。
(ユキは霧の中に消えていくように家の方へと後ずさりし、やがて視界から消える。)
ユキ!待ってくれ!
(翌日、タクヤはユキの家を訪れるが、そこには焼け跡しかないことを知る。)
(驚愕しながら)どうして…。ユキは…。
(タクヤは十年前に焼失したという事実と、昨夜の出来事を結びつけられずに立ち尽くす。)
幕