マイ・デジタル・シャドウ【掌編小説】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
都市の裏路地。夜。壁が中心にある。月明かりと街灯が薄暗い路地を照らす。
若者がゆっくりと歩いてくる。
(壁を見つめながら)伝説か…
ここがその場所なのか?
(柔らかい声で)求める者よ、運命が君をここへ導いた
誰かいるのか?
この声は…
私はこの路地の記憶、画家の遺した最後の作品だ
触れてみれば、真実が見える
(壁に手を伸ばし)本当に、何かを見せてくれるのか?
触れる瞬間、若者が光に包まれ消える。
翌朝。
新たな壁画の前で探し人たちが集まっている。
これは新しい!
昨夜までなかったはずだ。
若者を通して見た都市の光景…
彼が見つけた真実だ
見つけた者は戻らないって、本当だったんだな
でも、彼の見た光景がここに残されている
彼は何を見たんだろう?
それはまた新たな謎だ
誰かが解き明かすまで
【幕】