隣の席の宝物【掌編小説】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
空は青く、風はやさしく吹いていた。
しかし、私の心はどんよりとした曇り空のようだった。
未来を変えるため、私は過去へと旅立った。
目的は一つ、祖父を助けること。
彼の過ちを正し、私の家族に幸せな未来をもたらすためだ。
祖父との出会いは偶然だった。
彼は若く、希望に満ち溢れていた。
私は彼を見守り、彼の選択を導く影となった。
時には助言をし、時には励まし、彼の人生を良い方向に導いた。
しかし、私が見逃していたものがあった。
祖父の選択が変われば、私の存在も変わる。
彼が正しい道を歩むにつれて、私の存在は徐々に薄れていった。
最後に残された時間、私は祖父に真実を告げた。
「あなたの孫です。あなたを救うために、過去へ来ました」
祖父は驚いた表情をしたが、すぐに柔和な笑顔に変わった。
「ありがとう。でも、私は幸せだ。あなたのおかげで」
私の存在が薄れる中、私は微笑んだ。
祖父の幸せな未来を創った。それが私の願いだった。
そして、私は消えた。
空は依然として青く、風はやさしく吹いていた。