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夜空に並ぶ謎の光はUFOなのか? 人が「巨大な何か」を見てしまう理由

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

夜、家へ帰る途中。

ふと空を見上げた人が、足を止めました。

「……あれ?」

星とは違う白い光が、夜空をゆっくり進んでいます。

一つだけではありません。
その後ろから、二つ、三つ。

さらに次々と現れます。

「ちょっと待って。何個あるんだ?」

十個。

二十個。

数え切れないほどの光が、同じ間隔を保ちながら、一直線に並んでいます。

音は聞こえません。
飛行機のような赤や緑の点滅もありません。

「飛行機じゃないよな……」

光の列は、静かな夜空を崩れることなく進んでいきます。

ところが次の瞬間。

先頭の光が、空の途中で消えました。

「消えた?」

続いて、二つ目も消えます。

三つ目も、同じ場所で見えなくなりました。

まるで夜空に見えない入口があり、光が一つずつ吸い込まれているようです。

「まさか、UFOの編隊?」

光の一つひとつが、巨大な宇宙船の窓にも見えてきます。

その奥に、夜空を覆うほど大きな機体が隠れているのかもしれません。

何かが地球へ近づいている。

そんな想像が浮かんでも無理はないでしょう。

しかし、この光の列は宇宙人の乗り物ではありません。

「正体は……人工衛星?」

地上へインターネットを届けるため、人間が宇宙へ打ち上げた小型衛星。

見慣れないものが夜空に並ぶと、僕たちはそこに「巨大な何か」を見てしまうのです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

音もなく並んで進む光

夜空を見上げた人が、光の列を目で追います。

「やっぱり、飛行機じゃないよな……」

飛行機なら、赤や緑の航行灯が点滅します。
少し待てば、遅れてエンジン音が聞こえてくることもあります。

しかし、白い光は点滅しません。

音も立てず、同じ速さで静かに進んでいきます。

「こんなに明るいのに、どうして何も聞こえないんだ?」

理由は、光が想像以上に遠い場所を進んでいるからです。

人工衛星が飛んでいるのは、地上から数百キロメートル上空。

飛行機とは比べものにならないほど離れています。
しかも、飛行機のようにエンジンを動かし続けているわけではありません。

一度軌道に乗った人工衛星は、地球へ向かって落ちながら、その勢いで地球の周囲を回り続けます。

「落ちているのに、地面へぶつからないのか?」

人工衛星が落ちる先では、丸い地球の地面も同じように遠ざかっていきます。

そのため、いつまでも地表へ届かず、地球の周りを回り続けるのです。

地上から見えるのは、遠くで光る小さな点だけです。

夜空には、距離を比べる建物も道路もありません。

「近くにある小さな光なのか?」

「それとも、遠くにある巨大な光なのか?」

目だけで見分けるのは簡単ではありません。

遠くの航空機がこちらへ向かって飛んでくると、同じ場所に止まっているように見えることがあります。

実際には近づいていても、夜空では前後の動きが分かりにくいからです。

まして、何十個もの光が同じ方向へ進んでいれば、別々の小さな物体ではなく、一つの大きな何かにも見えてきます。

「でも、どうしてあんなにきれいに並んでいるんだ?」

人工衛星が偶然、同じ場所に集まったわけではありません。

光の列ができる理由は、それらが宇宙へ運ばれた方法にありました。

正体は宇宙船ではなくインターネット衛星

白い光は、同じ間隔を保ったまま夜空を進んでいます。

一つも列から外れません。

「偶然にしては、きれいに並びすぎてないか?」

まるで誰かが、見えない糸でつないで動かしているようです。

しかし、その正体は宇宙船ではありません。

「スターリンクっていう人工衛星なんだ」

スターリンクは、アメリカの宇宙企業スペースXが進めている衛星通信サービスです。

山間部。
離島。
海の上。

地上に通信設備を作りにくい場所にも、インターネットを届けるために飛んでいます。

「でも、どうして一機じゃなくて、あんなにたくさん必要なんだ?」

スターリンクは、一機の巨大な衛星で広い地域を覆う仕組みではありません。

多数の小型衛星を低い軌道に配置し、それぞれを連携させます。

そのため、ロケットには何十機もの衛星がまとめて積み込まれます。

宇宙へ到着すると、衛星は順番に放出されます。

「一列に並んでいたのは、その直後だったのか!」

放出されたばかりの衛星は、まだ互いに近い場所を進んでいます。
そこから少しずつ間隔を広げ、それぞれの軌道へ移動していきます。

地上から見ると、その途中の姿が、白い光をつないだ数珠のように見えるのです。

整然と並んでいたのは、未知の知性に操られていたからではありません。

同じロケットから、計画どおりに放出された人工物だったからです。

「地球を偵察していたんじゃなくて、ネットを届けに行く途中だったのか……」

あれほど不気味に見えた光の列も、役割を知れば印象が変わります。

ただし、人工衛星は自分でライトをつけているわけではありません。

「じゃあ、どうして夜空であんなに明るく見えるんだ?」

その答えは、地上ではすでに沈んだ太陽にあります。

なぜ夜なのに人工衛星が光るのか?

地上は、すでに真っ暗です。
太陽は沈み、空には星が見えています。

それなのに、人工衛星だけが白く輝きながら進んでいます。

「夜なのに、どうして光っているんだ?」

人工衛星が、自分でライトをつけているわけではありません。

光の正体は、太陽の光です。

「でも、太陽ならもう沈んだはずじゃ……」

地上では沈んでいても、はるか上空まで同時に夜になるわけではありません。

高い場所にいる人工衛星からは、まだ太陽が見えていることがあります。

山の頂上では、麓よりも少し遅くまで夕日が見えます。

人工衛星では、その差がさらに大きくなります。

「地上は夜でも、宇宙ではまだ夕方なのか」

人工衛星は、数百キロメートル上空で太陽光を浴びています。
その光が衛星の表面に当たり、反射して僕たちの目へ届きます。

日没直後の空は暗いため、わずかな反射光でもよく目立ちます。

暗い紙の上に、白い点を置いたようなものです。

そのため人工衛星は、真夜中よりも夕方や明け方に見つけやすくなります。

「宇宙船の照明じゃなかったのか……」

僕たちが見ているのは、数百キロメートル上空に残っている夕日の反射です。

地上では終わったはずの夕暮れが、空の上だけに残っています。

ところが、その光は夜空の途中で突然消えることがあります。

「今度は、本当に消えた?」

雲も建物もない場所で、なぜ見えなくなるのでしょうか?

その先には、宇宙まで伸びる地球の影があります。

空の途中で消える理由

白い光は、同じ速さで夜空を進んでいます。

「このまま、空の向こうまで行くのかな」

そう思った瞬間。

先頭の光が、ふっと消えました。

「えっ?」

続いて、二つ目。

三つ目。

後ろの光も、同じ場所で一つずつ見えなくなっていきます。

空には雲もありません。
山や建物に隠れたわけでもありません。

「何もないのに、どうして消えるんだ?」

その場所には、目には見えない地球の影があります。

地上が夜になるのは、地球が太陽の光を遮っているからです。

そして、その影は地表だけで終わりません。

宇宙空間へ向かって、長く伸びています。

「地球の影って、宇宙まで続いているのか」

人工衛星がその影へ入ると、衛星に当たっていた太陽光が遮られます。

光を反射できなくなった衛星は、そこにいても見えなくなります。

たとえば、明るい部屋を歩いていた人が、照明のない廊下へ入ったとします。

「消えた!」

そう見えても、人そのものが消えたわけではありません。

光が当たらなくなっただけです。

人工衛星にも、同じことが起こります。

先頭の衛星から順番に地球の影へ入れば、夜空の同じ場所で一つずつ消えていきます。

「ワープしたんじゃなかったのか……」

ほんの少し前まで日なたを飛んでいた衛星が、宇宙に伸びる夜の中へ入っただけです。

何もないように見える空にも、光と影の境界があります。

僕たちは人工衛星が消える瞬間、その見えない境界を見ているのです。

ところが、こうした光を見た人の中には、別のものまで見えたと語る人がいます。

「光の後ろに、巨大な機体があった」

見えているのは白い点だけです。

それなのに、なぜ人はその背後に巨大な物体を感じるのでしょうか?

人は複数の光から巨大な物体を作る

1997年3月。

アメリカのアリゾナ州で、多くの人が夜空を見上げていました。

そこには、V字型に並んだ複数の光が浮かんでいます。

「あれ、ただの光じゃないぞ」

「後ろに、何かいる……」

目撃者の中には、星空を覆うほど巨大な物体が飛んでいたと語る人もいました。

この出来事は、後に「フェニックスの光」と呼ばれるようになります。

しかし、映像や証言で主に確認されているのは、V字型に並んだ複数の光です。

光と光の間に、機体の輪郭がはっきり見えていたわけではありません。

「じゃあ、どうして巨大な物体に見えたんだ?」

理由は、人間の脳の見方にあります。

僕たちの脳は、離れている点を見ると、その間をつないで一つの形にしようとします。

三つの光が三角形に並んでいれば、

「三つの別々の光だ」

ではなく、

「三つのライトが付いた三角形の物体だ」

と感じることがあります。

V字型に並んでいれば、その光を載せた巨大な機体が進んでいるように見えてきます。

「見えていない部分を、頭の中で作ってしまうのか…」

昼間なら、機体の輪郭や雲、地上の建物と比べられます。

大きさも距離も、ある程度は判断できます。
しかし、夜空には比べるものがほとんどありません。

遠くにある小さな光なのか?
近くにある巨大な物体のライトなのか?

光だけでは、簡単に見分けられません。

分からない部分が多いほど、脳はそこへ形を補います。

「巨大に見えたなら、見間違いだったのか?」

そう単純に片づけることもできません。

目撃者が嘘をついているわけではなく、本人には本当に巨大な物体があるように見えていたからです。

ただし、

「巨大に見えた」

という体験と、

「巨大な物体が存在した」

という事実は同じではありません。

夜空の謎は、光だけで生まれるものではありません。

見えない部分を埋めようとする、人間の目と脳によっても作られます。

それでも、すべての光が人工衛星や見間違いで説明できるわけではありません。

「では、本当に正体が分かっていない光もあるのか?」

その答えは、今も世界各地で観測が続く、不思議な発光現象の中にあります。

それでも説明が難しい光はある

雷雨の夜。

窓の外を見ていた人が、突然声を上げました。

「何だ、あの光……」

庭先に、球状の光が浮かんでいます。

地面へ落ちることもなく、数秒間その場を漂い、やがて消えました。

こうした目撃談は、世界各地に残されています。

一般に「球電」と呼ばれる現象です。

「人工衛星でも、飛行機でもなさそうだ」

球電は、星のように同じ場所で輝くわけではありません。

雷の近くに現れ、空中を漂ったという証言もあります。

では、その正体は何なのでしょうか?

「雷が丸くなったもの?」

そう考えたくなりますが、仕組みはまだ十分に分かっていません。

雷によって電気的な現象が起きたという説。
地面や建物の成分が高温になり、発光する粒子が生まれたという説。

いくつもの説明が考えられています。
しかし、そもそも目撃された光が、すべて同じ現象なのかも分かっていません。

「同じ球電という名前でも、正体は別々かもしれない」

光の見間違い。
電気設備の異常。
雷による発光。

違う原因で生まれた光が、まとめて球電と呼ばれている可能性もあります。

正体の分からない光は、球電だけではありません。

ノルウェーのヘスダレン渓谷でも、長年にわたって不思議な光が目撃されています。

「谷の中を光が動いてる」

「今度は、空中で止まったぞ」

「消えた……」

1980年代には目撃が相次ぎ、その後、カメラや観測機器を使った調査が始まりました。

記録された光の中には、星や惑星、車のヘッドライトで説明できるものもあります。

一方で、地形や大気の状態が関係しているのではないかと研究されている光もあります。

「結局、一つの原因じゃないのか?」

その可能性は十分にあります。

ヘスダレン渓谷には一種類の謎があるのではなく、異なる光が同じ場所で目撃されているのかもしれません。

説明できない光を見たからといって、すぐに宇宙船だと決めることはできません。

だからといって、

「見間違いだろう」

と片づけてしまえば、調べる手掛かりまで失われます。

「じゃあ、何をすればいいんだ?」

大切なのは、見たものをできるだけ正確に残すことです。

いつ現れたのか?
どの方向へ動いたのか?
何秒見えていたのか?
色や明るさは変わったのか?
雷や雲は出ていなかったか?

こうした記録が増えるほど、正体不明の光は少しずつ調べられる現象へ変わっていきます。

「分からないなら、分からないまま記録する」

それで十分です。

謎に答えを急いで与えるのではなく、見えたことだけを丁寧に残す。

そこから、次の発見が始まったりするのです。

最後に

夜空を進んでいた光が、ひとつずつ消えていきます。

「また消えた」

正体を知らなければ、どこかへ吸い込まれたように見えるでしょう。

けれど、その先にあるのは、宇宙まで長く伸びた地球の影です。

ほんの少し前まで、人工衛星は太陽の光を浴びていました。

地上はもう夜なのに、はるか上空には、まだ夕暮れが残っています。

「同じ空なのに、向こうはまだ明るいんだな」

やがて、最後の光も見えなくなります。

あとに残るのは、いつもと変わらない夜空です。

それでも、その暗闇のどこかを人工衛星は飛び続けています。

目には見えない地球の影を抜け、再び太陽の光を受けるまで。

そんなことを思いながら見上げる夜空は、以前とは少し違って見えるのかもしれません。

おまけの4コマ

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、無駄雑学などの小噺を発信しています。
どうぞ、ふらりと覗いてみてください。
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