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神秘の国アイスランドに眠る「エルフの家」と不思議な伝説

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

灰色の溶岩原に、ぽつんと小さな赤い屋根。

人の背丈ほどの岩の影に、まるで誰かが「ここに置いときますね〜」と気軽に設置したかのようなミニチュアの家が建っています。

郵便受け付き。
ドア付き。
しかもやたらとカラフル。
なにこの完成度。

「おもちゃ?」

そう思って近づくと、地元の人が真顔でこう言うのです。

「それ、エルフの家だよ」

……え、エルフ?
おとぎ話の世界の話じゃなくて?
映画の中だけの存在じゃなくて?

ここは現実の国、アイスランド。
人口約37万人。
ITも進んでるし、大学もあるし、スタートアップもある。
オンライン会議も当たり前だし、AIも日常業務で使われている。
なのに、岩陰に住む“見えない隣人”のために、小さな家が建っている。

合理主義の国だと思っていたら、どうやらこの国では「見えないものの方が発言力がある」らしいのです。

人間よりエルフ優先。
住民票はないけど、存在感は抜群。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

見えない隣人たちの正体

アイスランドには、huldufólk(フルドゥフォルク)という存在がいます。
意味は「隠れた人々」

人間とほぼ同じ姿で、少し背が高く、やせ型で、美しい。
17世紀風の服を着て、日曜には教会へ行き、ベリーを摘み、ダンスとパーティーが大好き。
ただし――普通の人間には見えません。

見えるのは、邪念のない子どもか、よほど感受性の鋭い人だけ。
要するに「大人になったら見えなくなる系ファンタジー」です。

そして彼らは、岩や丘、溶岩の裂け目に住んでいるとされます。
その住処が「álfhól(アウルヴホール)」――通称「エルフの家」

人間サイズの家もあれば、庭先に置かれたミニチュア住宅もあり、まるで不動産ポータルサイトのように多様な物件が揃っています。

「築300年・岩盤一体型・眺望良好」みたいな。

神に隠された子どもたち

エルフの起源は、意外にも聖書にさかのぼります。

ある日、神がアダムとイブを訪ねてくることになりました。
イブは慌てて子どもたちを洗い始めますが、間に合わず、洗っていない子どもを岩陰に隠します。

神が尋ねます。
「他にも子どもはいるか?」

イブは答えます。
「いいえ、いません」

すると神は言いました。
「人間が神から隠すものは、神もまた人間から隠すであろう」

こうして岩陰に隠された子どもたちは、人間の目から見えなくなり、その子孫がhuldufólkになった――というわけです。

つまりエルフは、神公認の“見えない親戚”

家系図に書きづらいけど、確実に存在するタイプの親戚です。

国民の3割は「信じる」、6割は「否定しない」

2022年の調査によると、アイスランド人の31%が「エルフを信じる」と回答。
57%は「信じない」と答えていますが、重要なのは残りの人たち。

「わからない」
「否定はしない」

このスタンスがとにかく多い。

日本で言うなら、
「幽霊?見たことないけど、いないとは言い切れないよね」
「とりあえず神社ではお賽銭入れとくよね」

あの感覚に近い。

科学は信じる。
でも自然はもっと怖い。

そんな国民性が、エルフ信仰を“現役”にしているのです。

道路が岩を避ける国

レイキャビク近郊の町、コーパヴォグル。

ここには奇妙な道路があります。

まっすぐ行けばいいはずなのに、なぜか大きな岩をぐるっと避けるようにカーブしている。

理由?
そこが「エルフの丘」だから。

建設中、ブルドーザーが次々と故障。
作業員がケガ。
工事が進まない。

「これはエルフの怒りだ」

そう判断され、道路は岩を避けるルートに変更されました。

合理的?
いいえ。

でも実にアイスランド的。

エルフの庭で、五感がざわめく

レイキャビクから車で15分。
ハプナフィヨルズルのHellisgerði公園。

苔むした溶岩の間を歩くと、足元はふかふか。
湿った土の匂い。
風に揺れる白樺の葉。

岩の裂け目から冷たい空気が吹き上がり、遠くでカラスが鳴く。

そして、岩陰に小さな扉。
赤い屋根の小さな家。

近づくと、なぜか声をひそめてしまう。

「……ほんとに、誰か住んでそう」

理性が「そんなわけない」と言っても、感覚が「でもさ」と返してくる。

この国では、そういう瞬間が日常なのです。

エルフスクールという名の沼

レイキャビクには「エルフスクール」があります。

30年以上の歴史を持つ教育施設で、エルフ、妖精、トロール、山の精霊など50種類以上の存在を学べます。

卒業証書も出ます。

履歴書に書く勇気が試される資格です。

エルフに会える危険な日

年に数回、エルフとの接触率が爆上がりする日があります。

・夏至の夜
・クリスマス
・大晦日

この日は、エルフが引っ越しをしたり、パーティーを開いたりする。

もし贈り物をもらったら?
正気を失うそうです。

牛が人間の言葉を話し始めるとも言われていますが、
聞いてはいけません。

なぜなら――だいたいろくなことを言わないから。

なぜ人は「見えないもの」を大切にするのか

火山、氷河、溶岩原。

アイスランドの自然は、人間の都合など一切聞きません。
こちらが予定を立てようが、会議を入れようが、「知らんがな」と言わんばかりに噴き、凍り、割れます。

自然、強すぎ。

だからこの国の人たちは、自然に敬意を払う方法として、物語を選びました。

「そこには誰かが住んでいる」

そう思えば、壊す前に立ち止まれる。
重機を入れる前に深呼吸できる。
ついでにヘルメットの紐も締め直せる。

否定しないことは、信じることよりもずっと謙虚な態度なのかもしれません。
世界は人間のものだけじゃない――そう思えた瞬間、私たちは少しだけ、ちゃんとした大人になれるのではないでしょうか。たぶん。

最後に

溶岩の大地に立つ小さな家。

そこに誰が住んでいるのか、確かめる術はありません。

でも、もしこの世界が、人間だけのものではないとしたら。

見えない隣人のために、少しだけ遠回りする道路があってもいい。

そんな国が、地球のどこかに残っているという事実は、
この忙しすぎる世界にとって、ひとつの救いなのかもしれません。

風の音に耳を澄ませながら、
あなたは今日も、誰かの住処のそばを歩いているのかもしれません。

知らないだけで。

気づかないだけで。

そして、それはそれでいいのかもしれません。

おまけの4コマ

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、小噺を発信しています。
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