夢見るマシン【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
ケンジが出社すると、上司がご機嫌な顔で迎えた。
「君の仕事、ぜーんぶ自動化しといたから!」
「え、全部ですか?」
ケンジは目を丸くするが、上司は満足げに続けた。
「だから君はこれから『新しい価値』を創造するんだ!」
「新しい価値…」
ケンジはぼんやりとつぶやきながら、自分のデスクに戻る。
何をすればいいか、考えるうちに妙案がひらめいた。
数日後、ケンジは得意満面で『新しい価値自動生成システム』を完成させ、上司に披露した。
システムが作成する『価値』を見て上司は唖然とする。
「え、これ、私たちが不要になるんじゃないか…?」
ケンジは肩をすくめて微笑んだ。
「それが現代の新しい価値観ってやつですから」