小噺ショート
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凍えた影【ショートショート】

佐藤直哉(Naoya sato-)
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閉ざされたドアの向こうにいるのは誰だ?

雪山の別荘に集まったのは、僕を含めて3人だけだった。

暖炉の炎が揺れる中、談笑していると、突然の停電で部屋が暗闇に包まれる。

慌てて懐中電灯を点けると、友人の一人がいなくなっていた。

しばらくして、ドアが軋み、消えたはずの友人が何事もなかったように戻ってきた。

「悪い、外の様子を見に行ってただけだよ」と彼は笑うが、吹雪の中にいたはずなのに、服には雪ひとつ付いていない。

妙な違和感を感じたが、彼ともう一人が懐中電灯を持って別室へ向かい、僕は暗闇の中で待機することになった。

静寂に包まれる中、ふと外から声が聞こえた。

戻ってきたはずの友人の声が、遠く低く、吹雪に混じって響いている。

「おい、開けてくれ……寒くて凍えそうだ」

その瞬間、背後のドアがゆっくりと開く音がして、暗闇に僕の影が揺れた。

それは、すぐ後ろに「誰か」が立っているかのようだった。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
このサイトでは、歴史の中に埋もれた謎や、日常でふと引っかかる“気になる話”をもとに、雑学記事、4コマ漫画、風刺ショートショートとして発信しています。
テーマはちょっと真面目。
でも、語り口はすこし皮肉で、たまにユーモア。
「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
──そんな話を集めて、掘って、遊んでいます。
読んだ人の中に“ひとつくらい、誰かに話したくなる話”が残れば嬉しく思います。
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