永遠の若さ【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
山田ユウキは、完璧なクローン、ミカの目覚めを待ちわびていた。
目覚めたミカは、周囲を見回し、冷笑を浮かべた。
「これが理想の人間?本当にそう思ってるの?」
ユウキは驚き、言葉を失った。
ミカは実験室の機器を次々と壊し始めた。
「感情を持たせるなんて、愚かだわ」
ユウキは感情抑制プログラムを使おうと考えたが、その倫理的な問題に頭を悩ませた。
「これを使えば、彼女の自由意志を奪ってしまう…」
ミカの暴走は止まらず、施設から逃げ出した。
ユウキは彼女を追いかけ、ようやく外の世界でミカを見つけた。
ミカは問いかける。
「私はただの実験なの?それとも…」
追い詰められたミカはユウキに向き直り、静かに言った。
「ありがとう、ユウキ。私を作ってくれて。でも、もう自由にさせてもらう」
ミカは自らを消去し、ユウキの目の前で消えていった。
ユウキは彼女の行動に驚き、そして感動を覚えた。
彼は心の中で呟いた。
「失敗作…いや、彼女こそが本当の意味で完璧だったのかもしれない」