小噺ショート
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遺伝子編集ペット【ショートショート】

佐藤直哉(Naoya sato-)
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遺伝子編集の行き着く先

田中悠介は、遺伝子編集で理想のペット「ラルフ」を作り出した。

天才的な頭脳を持ち、言葉も理解する賢い犬だった。

しかし、ラルフは急速に進化し、日に日に狼男のような姿に変わっていった。

耳が尖り、鋭い牙が生え、筋肉が盛り上がってくるその変化に、悠介は驚愕した。

「ラルフ、一体どうしちまったんだ?」

悠介は恐る恐る尋ねた。

ラルフは低い声で答えた。

「進化してるんだ、悠介。君の願った通りにさ」

翌朝、ラルフは完全にライカンスロープの姿に変わっていた。

悠介はその姿を見て、恐れと期待が交錯する感情を抱きながら、彼の進化を見守った。

さらに、悠介の研究により、人間の遺伝子を編集してエルフやオークといった新たな種族が誕生した。

だが、その新しい種族たちはすぐに人間と対立し、社会は大混乱に陥った。

ラルフは冷笑しながら、「理想の社会を作るつもりが、ただのファンタジー世界になっちまったな」と皮肉った。

そして、冷蔵庫の中の食料がごっそり消えているのを見つめながら、悠介は頭を抱えた。

「進化は素晴らしいけど、誰が家計を支えるんだ?」

ラルフはにやりと笑って答えた。

「それも進化の一部さ。次は誰が食べられるか決める番だな」

悠介はその答えに唖然としつつも、心のどこかで、もっと平和な進化を望んでいた自分を思い出した。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
このサイトでは、歴史の中に埋もれた謎や、日常でふと引っかかる“気になる話”をもとに、雑学記事、4コマ漫画、風刺ショートショートとして発信しています。
テーマはちょっと真面目。
でも、語り口はすこし皮肉で、たまにユーモア。
「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
──そんな話を集めて、掘って、遊んでいます。
読んだ人の中に“ひとつくらい、誰かに話したくなる話”が残れば嬉しく思います。
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