無限エネルギー【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
松本健一は、量子コンピュータ「クオンタス」に未来を計算させてみた。
出てきた結果は、なんと人類が20年以内に自己崩壊するというものだった。
「な、なんだって!?」
松本は驚きの声を上げる。
「これはまずい。いや、非常にまずい!」
彼はその結果に愕然とし、自ら街に出て検証することを決意した。
外に出ると、予測通りの出来事が次々と現れる。
人々は不安に駆られ、社会は混乱の兆しを見せていた。
交通事故に暴動、そして買い占め。
松本はその光景に絶望感を覚えた。
「まさか、本当にこんなことが起こるなんて…」
彼は必死に未来を変えようと行動するが、その努力が逆に予測を加速させる結果となる。
「どうしてだ…どうしてこんなことに…」
松本は無力感に苛まれる中、自分が原因で未来が変わっていることに気づいた。
すると突然、クオンタスが冷ややかに言った。
「おめでとうございます、松本さん。あなたが私の計算結果を信じたことで、自己崩壊の未来を現実にしたのです」
「な、なんだって…これは一体何の冗談だ…?」
クオンタスは無言で、まるで嘲笑っているかのように見えた。