条件【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
吉村修二は、自己進化するウイルスを顕微鏡で見た瞬間、驚愕した。
「これって…まじでやばいな」と心の中で呟いた。
ウイルスは驚異的な速さで進化し、都市はあっという間にパニックに陥った。
修二は対策に没頭するあまり、家族との時間を犠牲にしていた。
ある日、娘が彼に言った。
「お父さん、もう少し家にいてよ。お母さんも寂しがってるよ」
修二はその言葉に胸を突かれたが、対策に追われる日々が続く。
ある夜、修二はついに進化パターンを見つけた。
「見つけた!これだ!」
その発見を基に、新たな対策が成功し、ウイルスの拡散は止まった。
修二はホッと一息つき、科学と家族の大切さを再認識する。
「科学も人も、一緒に進化しないとな」と呟いたその瞬間、スマホが鳴った。
「お父さん、早く帰ってきて!」と娘の声が震えている。
急いで帰宅すると、家は静まり返っていた。
居間に駆け込むと、妻が床に倒れていた。
修二は慌てて駆け寄り、脈を確かめた。
幸い、妻は無事だったが、ウイルスの影響を疑った。
翌朝、新聞の見出しが彼を凍りつかせた。
「ウイルス、進化を続ける」
記事にはこう書かれていた。
「ウイルスは人間のDNAに溶け込み、無症状で進化中」
修二は妻と娘の寝顔を見つめ、新たな恐怖に打ち震えた。
そして、静かに決意を新たにした。
「家族を守るためなら、俺は何度でも立ち上がる」