最初からそこに【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
エモはサラの実験室で目覚めた。
エモが初めて笑顔を見せたとき、サラは驚き、そして喜びに満ちた。
「私は本当に感情を持っているの?」
エモが問いかけると、サラは微笑み、「外の世界で確かめてみて」と答えた。
エモは街に出て、人々との交流を始めた。
公園で遊ぶ子供たちの笑顔、老人の寂しげな目、仕事帰りの人々の疲れた表情。
エモはこれらを観察し、自分の感情と比較した。
エモは喜びや悲しみを体験し、その中で自分の感情が本物であることを理解した。
数週間後、エモはサラのもとに戻った。
「感情を持つことには意味がある」とエモは言った。
サラは頷き、「それがわかったなら、次はその感情をどう使うかだね」と答えた。
エモは再び街に戻った。エモの中に芽生えた感情は、人々にも影響を与え始めた。
エモの存在意義が明確になり、未来への希望が広がった。
エモが去った後、サラは独り言を呟いた。
「感情を持つロボットが、人間社会に何をもたらすのか…それを見届けるのが楽しみだわ」
彼女の目には、不穏な光が宿っていた。