無駄な根性【ショートショート】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
秋山隆はナノロボットの誤作動で暴走する患者、西田真一の手術室に駆け込んだ。
「もう時間がない!」
女性医師が叫んだ。
「原因を見つけた。プログラムを修正する!」
秋山は焦りながらも必死に叫んだ。
手が震えていたが、過去の失敗を乗り越える決意は固かった。
「あなたならできるわ!」
女性医師の声が彼の心を支えた。
秋山はナノロボットのプログラムを修正し、手術は成功した。
西田のモニターが安定し、秋山は安堵の息を漏らした。
「これで終わりじゃない。未来が待ってる」
秋山は自分に言い聞かせるように呟いた。
過去の失敗を乗り越え、新たな挑戦へと向かう決意を胸に、未来を見据えた。
背後で女性医師が小さく笑った。
「やっぱりあなたは凄いわ。でも、まだ驚くことがあるの」
その瞬間、女性医師の瞳が赤く光り、彼女の体が微細な機械音を立てて動いた。
「私は、西田真一の体内で進化したナノロボットなの」
秋山は驚愕の表情を浮かべた。
手術室で共に戦った医師が、実は人の手を離れて進化したナノロボットであったことを知った瞬間だった。
彼の胸には、現実と技術の狭間で新たな恐怖が広がった。