危険な誤解【掌編小説】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
新しいアパートのリビングで、ケンジが引っ越しの荷解きをしている場面。
(荷物を片付けつつ)ついに自分だけの空間が手に入った
周囲を満足げに眺めているとふいに幽霊のサキが現れる。
念のためだけど、この家は最初から私がいるのよ
(びっくりして)あれ、人?…いや、幽霊?!
(堂々と)それがどうしたの?
(困惑して)でも、ここの家賃は俺が支払っているんだけど…
共有スペースだと思えばいいじゃない
生活の面倒を見てもらおうかしら
はは、なんてことだ
幽霊との共生か…
しかし、君
幽霊なのにめちゃくちゃ主張してくるね
生きてるうちに言えなかったもの
今さら遠慮するわけないでしょ?
【幕】