時の教訓:過去のループと再会【掌編小説】
佐藤直哉(Naoya sato-)
コヨーテの小噺
毎夜、異世界への扉が開く夢を見る。
ある夜、扉の向こうに真実を見つけた。
目覚めたとき、その記憶を紙に書き留めた。
だが朝、紙を見ると「牛乳を買うこと」のみ。
夢の内容はすっかり忘れてしまった。
その日、仕事で大失敗。帰宅後、冷蔵庫を開けると牛乳だらけ。
前夜、夢遊病で何度も買いに行っていたらしい。
忘れられた夢の代わりに、現実には牛乳の山。
夢の探求より、日常の「牛乳」が私の運命を握っていたのだ。