暖炉の前だけ天国だった中世ヨーロッパ―大広間の中央で普通に火を焚く時代

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

中世の家はどれくらい寒い?

中世ヨーロッパの家って、石造りだし、なんかこう…
重厚であったかそうなイメージありませんか?

暖炉がパチパチしてて、優雅にワイン飲んでるみたいな。

――ええ、全部違います。

実際はどうかというと、

家の中でも普通に息が白いです。

ほぼ屋外です。
石でできたテントです。

しかも暖房?

ありません。というか、

「火の近くだけ暖かいシステム」です。

エアコン?ないです。
床暖房?あるわけないです。
全館暖房?夢です。

じゃあどうするか。

火の周りに全員集合です。

冬の中世はだいたい焚き火オフ会だったのです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

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大広間の中央で火を焚く時代

中世の人たちはどこで暖を取っていたのでしょうか?

答えはシンプルで、大広間の真ん中です。

館の中でもっとも広い空間
――いわゆるホールの中央に、床に直接つくられた炉床があり、そこで火を焚いていました。

部屋のど真ん中で普通に焚き火です。

じゃあ煙はどうするのかというと、これもシンプルです。

上に抜きます。
以上です。

天井の上のほうに開けられた排煙口から、なんとなく外に出ていきます。
なんとなくです。

つまりどうなるか。

普通に煙いです。

もはや暖房というより、常設バーベキュー空間です。

それでもこの方法には一つ大きな特徴があります。

暖かい場所が、はっきりしていることです。

火の近くは暖かい。
少し離れると一気に寒い。

とても分かりやすい世界です。

そしてこの「分かりやすさ」が、ちょっと面白いことを生みます。

座る位置で快適さが決まるんです。

上座の人は火の近くでぬくぬく。
下座の人は遠くでじっと寒さに耐える。

暖房の仕組みが、そのまま人の序列を見える形にしていたわけですね。

煙突が変えた「部屋」の発想

そんな煙モクモク生活に、ついに革命が起きます。

煙突、登場。

いやもうこれ、当時の人からしたら
スマホレベルの発明です。

煙がちゃんと外に出る。
部屋の中で火を焚ける。

結果どうなるか。

部屋という概念が生まれます。

それまで
「でかい空間で雑に暮らす」だったのが

「この部屋あったかい」
「この部屋さむい」

って分かれるようになるんです。

ただしここで疑問。

全部の部屋に暖炉あるの?

答えはシンプルです。

そんなわけあるかい。

暖炉は高級品です。
基本は

・偉い人の部屋 → 暖かい
・それ以外 → 冷蔵庫

です。

中世の建物、
だいたい部分的にしか人権がない温度です。

暖房室だけが暖かい修道院

修道院ならさすがに暖かいのでは?

静かで落ち着いてて、ぬくぬく読書…みたいな。

――甘いです。

修道院、

基本寒いです。

なぜか。

理由はシンプルで、

暖房がめちゃくちゃコスト高いからです。

薪は貴重。
火の管理も大変。
そして建物はやたら広い。

全部暖める?

無理です。
物理的にも経済的にも。

じゃあどうするか。

一点集中です。

暖かい部屋を一つだけ作る。

それが暖房室(カレファクトリー)。

要するに何か。

全員ここに逃げ込む部屋です。

もうね、完全に避難所です。

しかもこれ、もう一つ理由があります。

修道院って、

「我慢するのが正しい」文化なんです。

寒い?
はい修行です。

ぬくぬく?
それ贅沢です。(贅沢は敵です)

なので、

暖房をあちこちに作るなんて発想自体がない。

結果どうなるか。

暖かい場所、ここだけ。

しかもここ、

くつろぐ場所じゃないです。

寒すぎて作業できないから
「ここでやるしかない」っていう部屋です。

つまり

暖房=贅沢

じゃなくて

暖房=生存ライン

なんですよね。

火鉢と布でしのぐ冬の知恵

とはいえ、暖炉だけじゃ無理です。

普通に寒いです。

そこで登場するのが、

火鉢。

要するに何か。

持ち運べるミニ焚き火です。

部屋に持ち込んで暖を取る。
シンプル。
原始的。
だが効く。

さらにもう一つ重要アイテム。

タペストリー。

オシャレな壁飾り?
違います。

でかい断熱材です。

冷たい石壁からの冷気をカットしてくれます。

あと地味に効くのが、

石。

暖炉で温まった石がじわじわ熱を出す。

つまり中世の暖房って、

・火
・布
・石

この3点セットです。

ほぼキャンプです。

中世の絵に見る冬の室内風景

ここでちょっと面白いのが、中世の絵です。

冬の絵を見るとどうなっているか?

全員、暖炉に群がってます。

いやもうほんとに。

距離ゼロです。

「ソーシャルディスタンス?何それ」状態。

手をかざして、顔近づけて、
全力で暖を取りに行ってる。

これ、誇張じゃなくて

リアルです。

だって寒いんだから。

絵って理想も描きますけど、
こういうところは妙に正直なんですよね。

地域で違う中世の暖房事情

ここまで読むと

「中世ヨーロッパって全部こんな感じ?」

と思いますよね。

答えは、

バラバラです。

地域によって全然違います。

たとえば

・イングランド → 暖炉&煙突進化
・寒い地域 → 中央で火ドン
・ドイツ方面 → ストーブ系発達

つまり、

ヨーロッパ=統一された文化

ではありません。

むしろ

寒さへの対策の寄せ集めです。

あと忘れてはいけないのが身分差。

王様 → ぬくい
貴族 → まあまあ
庶民 → 外と同じ

この温度格差、なかなかエグいです。

最後に

暖房は建築そのものだった

ここまで見てくると、なんとなくわかってきます。

中世の暖房って、

あとから足すものじゃないんです。

最初から、建物の一部として組み込まれたものなんです。

火をどこに置くかで、
人がどこに集まるかが決まる。

煙をどう逃がすかで、
部屋の形が決まる。

暖かい場所がどこかで、
生活の中心が決まる。

つまり、

暖房=暮らしの設計図

なんです。

現代みたいに、あとから機械を置いて
部屋を丸ごと暖める、なんて発想はありません。

寒さは消せない。
だからどうするか。

暖かい場所を「作る」しかない。

で、その結果どうなったか。

家の中に、

“当たり”と“ハズレ”がはっきり分かれる世界が生まれました。

暖炉の前 → 当たり
ちょっと離れる → まあ耐える
壁際 → 体も心も冷え切る

とても分かりやすいです。

ここまでくると、もう結論はシンプルです。

暖房はあるのか?

あるにはある。

どこにあるのか?

火の前だけです。

……つまり中世の冬、

家の中でも「いい場所を取った人が勝ち」という
椅子取りゲームが常に行われる場所だったのです。

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