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脳を刺激したら「後ろに誰かいる」と言い出した――科学者が遭遇した“もう一人の自分”

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

「後ろに誰かいます」

2006年。

てんかんの検査を受けていた22歳の女性に、医師が脳への電気刺激を行っていました。

検査の途中。

女性が急に口を開きます。

「……後ろに、誰かいます」

医師が女性の後ろを確認します。

「誰もいませんよ」

「でも、すぐ後ろにいるんです」

女性には、自分の背後に人のような存在がいるように感じられていました。

医師が聞きます。

「何をしていますか?」

「座っています」

女性も座っています。
少しして、女性が前へ体を傾けます。

「今は?」

「その人も前に傾きました」

どうやら、こちらの動きを真似している。

そこで女性にカードを使った作業をしてもらいます。

すると、

「あの人、カードを取ろうとしています」

真似だけではなく、今度は手まで出してきました。

医師から見れば、誰もいません。
女性から見れば、すぐ後ろに誰かいる。

「本当に誰もいないんですか?」

「いません」

では、女性が感じているこの人は、どこから来たのでしょうか?

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

その“誰か”は、自分だった?

研究者たちは、妙なことに気づきます。

「この人、あなたと同じ動きをしていますね」

女性が座れば、座る。
前へ傾けば、前へ傾く。

どうも偶然には見えません。

そこで出てきたのが、

「もしかして、この“誰か”は本人自身ではないか?」

という考えです。

人間の脳は普段、

「これは自分の体」

「いま自分はこう動いている」

という感覚をまとめています。

ところが、その処理がずれると、
自分の体についての感覚なのに、

「近くにいる別の人」

のように感じることがある。

研究者たちは、女性の体験をそんなふうに考えました。

つまり、

「後ろに誰かいる」

と思っていた相手は、

知らない人でも、

幽霊でもなく、

自分自身の身体感覚が、別の誰かのように感じられていた可能性があります。

女性の後ろには、実際には誰もいませんでした。

それでも本人には、

「すぐ後ろに人がいる」

とはっきり感じられていた。

この実験で分かったのは、

人間は、そこに誰もいなくても「誰かがいる」と感じることがある

ということです。

見えているものを疑うだけならまだ簡単です。

でも、

「いる」と感じる感覚そのものが脳から生まれるとなると、話は少し厄介になります。

幽霊より嫌な答え

「部屋の隅に、黒い人がいた」

「振り返ったら消えた」

「誰もいないのに、見られている気がする」

こうした話は、オカルトの世界ではシャドーピープルとして語られます。

では、その正体は何なのでしょうか?

「幽霊?」

「未知の存在?」

残念ながら、そこまでは分かりません。

ただ、2006年の実験を見ると、少なくとも一つだけ気になることがあります。

人間は、そこに誰もいなくても「誰かいる」と感じることがある。

しかも本人にとっては、

「気のせいかもしれない」

ではなく、

「確かにそこにいる」

と感じられることがあるのです。

そうなると、シャドーピープルの話も少し違って見えてきます。

本当に何かを見たのか?

それとも、脳が「誰かいる」という感覚を作ったのか?

怖いのは、その二つを本人には簡単に見分けられないことです。

最後に

夜中。

ふと背後に誰かいる気がする。

「……誰だ?」

振り返る。

誰もいない。

「気のせいか」

前を向く。

それでも、まだ誰かいる気がする。

幽霊なら、逃げれば何とかなるかもしれません。

でも、その「誰か」を作っているのが自分の脳なら話は別です。

玄関を出ても、

階段を下りても、

しっかり一緒についてきます。

どうやら人間は、幽霊が来てくれない夜でも、自分で一人くらい用意できるようです。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、無駄雑学などの小噺を発信しています。
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