その他の不思議
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月は本当に空洞なのか?「鐘のような揺れ」から巨大地下洞窟発見まで

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

夜。

月を見上げていた男が、ぽつりと言いました。

「なあ。月って、中まで全部岩なのかな?」

「急にどうした」

「昔、“月の中は空洞なんじゃないか”って話があったらしい」

友人も月を見上げます。

「あんな大きなものの中が空っぽ?」

「しかもNASAが月にロケットをぶつけたら、長いあいだ揺れ続けたんだって」

「……それはちょっと気になるな」

月には昔から、

「内部に巨大な空洞があるのではないか?」

という説がありました。

きっかけの一つになったのが、アポロ計画で観測された不思議な揺れです。

月面に物体を衝突させると、振動がなかなか収まらない。

その様子は、

「鐘のように鳴った」

と表現されました。

鐘は中が空いています。

なら、月も同じなのではないか。

そんな想像が広がったわけです。

では、本当に月の中は空っぽなのでしょうか?

結論から言えば、

月全体が巨大な空洞だったわけではありません。

ところが、この話には少し変わった続きがあります。

科学者たちが月を詳しく調べていくと、

別の場所から、本物の巨大空洞が見つかったのです。

最初に見つかったのは、

月を叩いたときの、妙に長い揺れでした。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

月を叩いたら、なかなか揺れが止まらなかった

月面。

宇宙飛行士が地震計を設置しています。

「これで月の中が分かるんですか?」

「揺れ方を調べればね」

「でも、どうやって揺らすんです?」

「ロケットを落とす」

「……もう少し静かな方法はなかったんですか?」

アポロ計画では、月面にいくつもの地震計が置かれました。

月で起こる振動を調べれば、その波がどこを通ったのかによって、内部の様子を探ることができます。

そこでNASAは、使用済みのロケット段などを月面へ衝突させました。

月に、

ドン

当然、地面が揺れます。

ところが、そのあとが少し変でした。

「まだ揺れてる」

「うん」

「……まだ?」

「まだ」

月では、衝突による振動が地球よりずっと長く続いたのです。

その様子は、

「鐘のように鳴った」

とも表現されました。

この言葉だけ聞けば、

「鐘みたいに鳴るなら、中も鐘みたいに空いているのでは?」

と考えたくなるのも分かります。

ただし、実際にはそう単純ではありません。

月の地面は非常に乾燥しています。

しかも何十億年ものあいだ隕石に叩かれ、岩盤には細かな割れ目がたくさんあります。

そこで振動が何度も散らばり、なかなか弱くならない。

そのため、地球とはかなり違った揺れ方をすると考えられています。

そして地震波を詳しく調べていくと、月の中にはちゃんと、

地殻があり、マントルがあり、中心には核もある。

という姿が見えてきました。

男が月を見上げます。

「じゃあ、“月の中が全部空っぽ”というわけではないのか…」

「そういうことになるね」

「鐘みたいに鳴ったのに?」

「鐘みたいに鳴ることと、鐘みたいな形をしていることは別なんだよ」

空洞月説は、ここでかなり怪しくなります。

月全体を大きな空洞と考える必要はなさそうです。

ところが――

「空洞なんてなかった」で話は終わりませんでした。

本物の空洞は、

もっと浅いところから見つかります。

日本の「かぐや」が見つけた、本物の巨大空洞

研究室。

月面の画像を眺めていた研究者が、画面の一点を見つめます。

「……これ、穴じゃないですか?」

「クレーターだろ?」

「いや、丸くへこんでいるんじゃなくて……下に落ちています」

「どれくらい?」

「深さ、およそ50メートル」

少し沈黙。

「月って、こんな穴が開いてるの?」

ありました。

日本の月探査衛星、

「かぐや」

が観測したマリウス丘には、大きな縦穴があります。

直径も深さも、およそ50メートル。

ビルがすっぽり入ってしまいそうな穴です。

ただ、本当に気になるのは穴そのものではありませんでした。

その下です。

観測データを詳しく調べていくと、

地下に横方向へ続く大きな空間が存在する可能性

が見えてきました。

深さは地下数十〜数百メートル。

場所によっては、

数十キロメートル規模で続いている可能性

まで考えられています。

男が首をかしげます。

「ちょっと待って。月の中は空洞じゃないって話だったよね?」

「月全体はね」

「じゃあ、これは?」

「地下洞窟」

「……空洞あるじゃん」

あります。

ただし、

「月そのものが中空の球」

なのと、

「岩盤の一部に巨大な地下空間がある」

のはまったく別の話です。

では、こんな巨大な穴がどうやってできたのでしょう。

有力なのは、

溶岩チューブ

と呼ばれるものです。

昔、月で火山活動が起きていたころ。

地表を流れる溶岩の表面だけが先に冷えて、屋根のように固まることがあります。

でも、その下ではまだ溶岩が流れている。

やがて火山活動がおさまり、中の溶岩が流れ去ると――

屋根だけが残り、その下に長いトンネルができる。

これが溶岩チューブです。

地球にもあります。

ただ、月には雨も川もほとんどなく、地球のような激しい侵食もありません。

だから大昔につくられた地下空間が、そのまま残っている可能性があります。

最初に探していたのは、

「月そのものが空っぽなのか?」

という話でした。

答えはどうやら違った。

ところが月面を調べていたら、

今度は本当に数十キロ規模かもしれない空間が出てきた。

しかも、この話にはまだ続きがあります。

長いあいだ、

「縦穴の奥には、本当に横へ続く洞窟があるのか?」

という部分までは確認できていませんでした。

その答えが出たのが、

2024年です。

穴の底を調べたら、本当に奥へ続いていた

研究者がレーダーのデータを見ています。

「この反射、おかしくない?」

「どこ?」

「穴の底」

「岩に当たっただけじゃない?」

「いや……横から返ってきてる」

「ということは?」

画面を拡大します。

「穴の奥に、まだ空間がある」

2024年。

研究チームが、NASAの月探査機LROが集めたレーダーデータを詳しく解析しました。

調べたのは、

「静かの海」

にある大きな縦穴です。

静かの海といえば、アポロ11号が着陸したことで知られる場所。

その地下をレーダーで調べると、

穴の底から横方向へ続く空間

が確認されました。

少なくとも約60メートルほど続いていると考えられています。

その先がどこまで延びているのか?
途中で狭くなるのか?
さらに大きな空間につながっているのか?

そこまでは、まだ分かりません。

ただ、一つだけは以前よりはっきりしました。

月の穴は、ただの深いくぼみではなかった。

その先に、

本当に洞窟が続いていたのです。

男が少し嬉しそうに言います。

「じゃあ、入れるの?」

「理屈の上ではね」

「中は真っ暗?」

「たぶん」

「寒そうだな」

「それが、そうでもない」

「え?」

ここで、もう一つ面白い話が出てきます。

月面は、とにかく温度差が激しい場所です。

太陽に照らされれば100℃を超えることもある。

夜になると、今度はマイナス100℃を大きく下回ります。

人間にとっては、かなり厳しい環境です。

ところが、月の縦穴について調べた研究では、

影になった場所では約17℃前後で比較的安定する可能性

が示されています。

男が聞き返します。

「17℃?」

「そう」

「月面より洞窟の中の方が快適なの?」

「温度だけならね」

「急に物件として見えてきたな」

もちろん、空気はありません。

食料も必要です。

放射線の問題もある。

ですから、そのまま住めるわけではありません。

ただ、地下に入れば、岩盤そのものが屋根になります。

宇宙から飛んでくる放射線。

小さな隕石。

月面の激しい温度変化。

そうしたものから人を守ってくれる場所になるかもしれません。

そのため月の洞窟は、

将来、人間が月で活動するときの基地候補

としても注目されています。

昔は、

「月の中には何があるんだ?」

と地上から想像するしかありませんでした。

ところが今では、

「あの穴の奥へ、どうやって入る?」

という話にまで進んでいます。

最後に

夜。

二人はもう一度、月を見上げました。

「最初は“月の中が全部空っぽかもしれない”って話だったよな」

「うん」

「それは違った」

「今のところ、そう考えられている」

男は少し黙ってから、また月を見ます。

「でも地下には、本当に巨大な空洞があった」

「あった」

「しかも穴の奥には洞窟まで続いていた」

「そう」

「……なんか最初より気になるんだけど」

月全体が空っぽだったわけではありません。

地殻もある。
マントルもある。
核もある。

そこまでは、少し安心する話です。

ところが人類が月を詳しく調べていくと、

地表の下には、

まだ誰も足を踏み入れたことのない巨大な空間

が残されていました。

昔の「空洞月説」は、どうやら場所を大きく間違えていたようです。

月を丸ごと空っぽにする必要などありませんでした。

本物の空洞は、ちゃんと月の地下にあったのです。

しかも、その先にどれほど大きな空間が残されているのかは、まだ分かっていません。

次に人類が調べるのは、月の表面ではなく、

その穴の奥なのかもしれません。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、無駄雑学などの小噺を発信しています。
どうぞ、ふらりと覗いてみてください。
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