未発見ファイル
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えっ!キャンプ場の靴が消えた! 30個以上を盗んだ意外な犯人とは?

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

朝、テントの入口へ手を伸ばしたところ、昨日そこで脱いだはずの靴が見当たりません。

「昨日、ここに置いたよね?」

周囲を探してみると、隣のテントには片方だけ残されたサンダルがあり、少し離れた場所からも声が上がります。

「こっちもない!」

誰かが間違えて履いていったのでしょうか?
それとも、夜のあいだに泥棒が入り込んだのでしょうか?

2025年夏、アメリカのグランドティトン国立公園で、キャンプ客の靴が次々に消える事件が起きました。

一足そろってなくなることもあれば、片方だけ持ち去られることもあり、消えたのはスニーカーやサンダル、登山靴など種類もばらばらです。

被害は少しずつ増え、ついには三十個を超えました。

ところが、この泥棒は高価な靴を選んでいたわけではなく、サイズやメーカーにも興味を示していません。

そもそも、靴を履く必要すらありませんでした。

なぜなら、犯人は人間ではなかったからです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

夜のキャンプ場に現れた泥棒

事件が起きたのは、ワイオミング州にあるグランドティトン国立公園のリザード・クリーク・キャンプ場です。

最初は、一つの靴がなくなりました。

その程度なら、誰かが移動させたとも考えられます。

次も消えました。
さらに、その次も。

気づけば十九個。

ここまで来ると、履き間違いでは説明できません。

一足ではなく、片方だけ持ち去られた靴もありました。

「転売目的の泥棒か?」

しかし、犯人の選び方は妙でした。

高級な登山靴だけを狙うわけではありません。

古い靴も持っていきます。
サンダルも持っていきます。

左右がそろっているかどうかも気にしません。

そして、ついに姿を現します。

夜のキャンプ場へ忍び込んだのは、一匹のキツネでした。

キツネはテントの前へ近づき、置かれていた靴をくわえると、そのまま森へ走り去ります。

靴泥棒の正体は、赤ギツネだったのです。

被害はそれでも止まりません。
報道された時点で、持ち去られた靴は三十二個に達していました。

しかし、ここで新しい謎が生まれます。
キツネは、靴を集めて何をするのでしょうか?

なぜキツネは靴を盗んだのか?

キツネが靴を持ち去った理由は、今もはっきりしていません。

考えられている理由の一つは、靴に残った人間のにおいです。

キャンプ場で一日中履いた靴には、汗や皮脂のにおいが染みついています。
野生のキツネにとっては、森の中にはない強いにおいだったのでしょう。

靴を遊び道具にしていた可能性もあります。

軽い靴なら口でくわえて運べます。
噛んだり、転がしたりすることもできます。

巣へ持ち帰り、巣材として使っていたのではないかとも考えられました。

公園側も、キツネが靴をおもちゃや巣材として扱っていた可能性を挙げています。

ただし、靴が積み上げられた巣が発見されたわけではありません。
犯人は分かっても、何のために盗んだのかまでは分からなかったのです。

持ち去られた靴の一部は、キャンプ場の近くで見つかりました。

問題は、キツネが一足そろえて返してくれるわけではないことです。

右足用だけが見つかっても、左足用がなければ履けません。
別の場所で見つかった片方も、サイズや持ち主が違えば組み合わせられません。

キツネにとっては、左右がそろっているかどうかなど関係ありません。

気に入った一つをくわえて運び、飽きれば置いていく。
こうしてキャンプ場には、持ち主のもとへ戻れない片方だけの靴が残されました。

注意看板を立てた結果

国立公園の職員は、キャンプ客に注意を呼びかけました。

「靴はテントや車の中へ入れること」

「食べ物や、においの強い物を外へ置かないこと」

「キツネが現れても、近づいたり餌を与えたりしないこと」

キャンプ場には、靴をくわえたキツネを描いた手配書風の看板も立てられました。

容疑は「履物の窃盗」

これなら、誰もが靴を片づけるはずです。
ところが、看板を見た人の中には、別のことを考える人がいました。

「本当に靴を盗むの?」

「その瞬間を見てみたい」

キツネを見物するため、わざと靴を外へ残す人まで現れたといいます。

公園側は、注意看板がキツネへの関心を集め、かえって被害を増やした可能性を指摘しました。

つまり、靴泥棒を止めるために立てた看板が、

「この場所では、キツネが靴を盗みます」

という観光案内になってしまったのです。

人間は注意書きを読みました。
内容も理解しました。
そのうえで、キツネが来るように靴を置きました。

被害を止めるはずだった看板が、キツネに新しい靴を用意するきっかけになってしまったのです。

かわいい泥棒では済まされない

靴をくわえて走るキツネ。
映像だけを見れば、少しかわいらしく感じます。

しかし、公園が心配していたのは靴の値段ではありません。

キツネが人間に慣れてしまうことです。

野生動物がキャンプ場へ来る。
人間が逃げずに眺める。
写真を撮る。
また会いたくて、靴や食べ物を置く。

これが繰り返されると、動物は人間を警戒しなくなります。

人へ近づくことが当たり前になれば、接触事故や攻撃につながるかもしれません。

その結果、動物を移動させなければならなくなったり、場合によっては殺処分が必要になったりします。

公園側は、キツネが現れたら眺め続けるのではなく、音を立てて遠ざけるよう呼びかけました。

かわいいから近づく。
珍しいから呼び寄せる。

その行動が、最後にはキツネを危険な立場へ追い込みます。

靴を一つ失うだけなら、人間は新しい物を買えます。

人間への警戒心を失ったキツネは、そう簡単には元へ戻れません。

最後に

グランドティトン国立公園では、三十個を超える靴が消えました。

夜のキャンプ場へ現れ、テントの前に置かれた靴をくわえて森へ走り去っていた犯人は、一匹のキツネです。

公園は被害を止めるため、キャンプ客に「靴を外へ置かないでください」と呼びかける注意看板を立てました。

これで事件は終わるはずでした。

ところが、看板に描かれたキツネを見た人の中には、別の興味を持つ人もいました。

「本当に盗むところを見てみたい」

珍しい光景を期待した人によって、また新しい靴が外へ置かれます。

キツネが最初の一足を持ち去った理由は、今も分かっていません。

ただ、被害が三十二個まで増えた理由は、それほど難しい謎ではなさそうです。

森の中で一番予想外の行動をしたのは、靴を盗んだキツネではなく、その姿を見たいと思った人間だったのかもしれません。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、無駄雑学などの小噺を発信しています。
どうぞ、ふらりと覗いてみてください。
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