兵士たちの肖像
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鉄の鎧はない。布と運が武器だった──中世ヨーロッパ歩兵装備の現実

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

🏰 鎧を着て戦うのは“選ばれし者”だけだった

「中世ヨーロッパの戦士」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはあの光り輝く全身鎧じゃないでしょうか?
騎士が馬にまたがり、鋭い槍を構えて突撃
──そんなイメージが頭に浮かぶでしょう。

でも、現実はもっと地味で、もっと過酷で、もっと「布っぽい」ものでした。

なにせ、あの金属の全身鎧一式、当時の熟練労働者年収の3倍以上
下手すればロンドンの一軒家が建つほどの値段です。

そんなもの、誰が買えるというのでしょう?
答えは簡単。
「金持ちだけ」です。

つまり──
中世ヨーロッパの戦場を実際に支えていたのは、“鉄の鎧”ではなく、“布と運”だったのです。

※本記事はエンターテインメント目的で制作されています。

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🧵 貧者の鎧「ギャンベゾン」とは何者か?

庶民にとって、戦場に着ていける唯一「防具」が、厚手の布ジャケット「ギャンベゾン(Gambeson)」です。

これ、ただの布と思ってはいけません。

麻やウールを何層にも重ねてキルティング縫製し、内部に馬毛や藁、古布を詰めて分厚く仕立てたもの。

まさに“動く座布団”。

実験では、一撃もそれなりに吸収できたというデータもありました。
フランス王ルイ11世は「30層の布を使え、死なないから」とまで兵士に命じています。

──つまり、布だけど、バカにできない。

それがギャンベゾン。

しかし、この布鎧、夏は蒸れる、雨で重くなる、乾かない、と三重苦。
でもそれでも、生死を分ける「最後の盾」だったのです。

🪖 頭を守るのは「鍋のフタ」

ヘルメットといえば、トゲ付きのフルフェイス?
いいえ

歩兵がよくかぶっていたのは「ケトルハット」と呼ばれる、縁付きのシンプルな鉄帽

鍋のフタみたいな見た目から、そう呼ばれるようになりました。

これが案外よくできていて、上からの投石弓矢に対してかなり有効だったとか。
日差しも防げて便利。
農作業にもどうぞ。

まあ、横から刺されたら意味ないんですけどね。

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🛡 木の盾は「貧者の壁」

そして、装備といえば忘れちゃいけないのが「盾」

歩兵の盾は、基本的に
オークや杉の板を何枚か重ね、外側に革を貼って、縁を金属で補強したものが一般的です。

「木の盾なんて斧で割られるのでは?」という疑問、ごもっとも。

でも当時の矢は殺傷力が高く、金属鎧を突き破ることもしばしば。
その中で、盾があれば「避ける」ことができた。
それが大きい。

何より、「盾の後ろに隠れる」という選択肢がある時点で、命の確率が跳ね上がります。

まさに、木製だけど、命の壁。

🗡 剣は“庶民の武器”ではなかった

「中世=剣」というイメージは、ほとんどファンタジーの副作用

実は剣って高価なんです。

鍛冶の技術も材料費も要るし、研ぎも必要。

だから実際に庶民が使っていた主武器は、

  • 槍(長い、安い、強い)
  • 棍棒(叩けばいい)
  • 農具(鍬や鎌を転用)
  • 石投げ(どこでも拾える)

剣はあくまで「最終手段」か、勝ち残った兵士が戦場で拾うもの。
逆にいえば、ちゃんとした剣を持っていたら「それなりに立場のある兵士」でした。

👣 歩兵はどうやって戦ったのか?

そんな軽装歩兵たちが、

どうやって重装騎士や本格軍団と渡り合ったのか。

それはもう
──数と工夫と、ちょっとの幸運です。

盾を並べて壁を作る
槍を突き出して馬の突進を防ぐ
丘や森を使って伏兵戦
味方が死んだ隙間に入り込む反射神経

ある意味、戦術と反射神経と運で生き残る、現代のバトルロイヤルゲームみたいなものだったかもしれません。

💸 身分によって装備はまったく違った

以下は簡単な“装備ヒエラルキー”

身分装備例
王族・貴族全身鎧+名匠の剣+馬付き
傭兵団長ガンベゾン+鎖帷子+ヘルム+ハルバード
都市民兵ガンベゾン+ケトルハット+盾+槍
農民動員兵古着のギャンベゾン+棒切れ+帽子

この通り、「どの身分で生まれたか」命の重さを決める。
そう言ってしまえるほど、装備は戦場での“生存率”直結していたのです。

🧭 布と勇気とちょっとの運がすべてだった

中世の戦場で、生き残るのに必要だったもの。

それは「運の良さ」「布の多さ」、それに少しの「立ち回りのうまさ」

鉄の鎧は神話。
布こそがリアル。
剣は飾り。
槍と盾こそが命綱。

ファンタジーでは語られない、もうひとつの“中世”の姿を、少しでも感じてもらえたでしょうか。

🎁 最後に

物語の裏にいた“名もなき布戦士”たちへ

鎧を着て馬に乗る者たちの影で、名もなき歩兵たちは布と盾を武器に命を懸けていました。

派手さも、栄誉もない。

でも彼らがいなければ、戦は始まらず、歴史も動かない。

布をまとい、命を削りながら、懸命に立ち続けた彼らの姿こそ──
現代を生きる私たちに「生き延びる知恵」を教えてくれるのかもしれません。


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「鎧の裏側」には、もっとリアルで熱い物語がある。
そんな視点を広める一助になれば嬉しいです。

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4コマ漫画「布と勇気で、出勤です」

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
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「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
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