中世の兵士たち
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中世最大の敵は空腹だった?兵士たちを支えた補給の真実

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

もし今日、1000人分の弁当を用意してくれと言われたらどうでしょうか?

かなり大変です。

では1000人分の食料を何週間も運び続けろと言われたら?

上司
「ちなみに車は禁止ね」

部下
「はい?」

上司
「冷蔵庫も禁止」

部下
「はい?」

上司
「舗装道路もない」

部下
「どうしろと…?」

しかし中世の軍隊は、本当にそんな状況で何千人もの兵士を連れて遠征していました。

食料がなければ兵士は戦えません。
水がなければ行軍できません。
馬の餌がなければ軍隊そのものが動きません。

将軍
「敵軍はどうだ?」

補給係
「それよりパンがありません」

将軍
「敵軍は?」

補給係
「馬の餌もありません」

将軍
「敵軍は!?」

補給係
「後回しです」

どれほど勇敢な騎士がいても、空腹には勝てません。
中世の戦争は、剣より先に補給との戦いだったのです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

軍隊は「移動する町」だった

中世の軍隊というと、兵士たちが武器を持って進む集団を想像しがちです。

しかし実際はもっと大規模でした。

鍛冶屋。
商人。
荷物運搬係。
従者。

場合によっては兵士の家族まで同行していました。

将軍
「軍を集めろ!」

部下
「兵士3000人です!」

将軍
「よし!」

部下
「鍛冶屋、商人、従者もおります!」

将軍
「うむ」

部下
「兵士の家族も来ています!」

将軍
「ほう」

部下
「お弁当を広げる場所を探しています!」

将軍
「うむ?」

部下
「おやつは一人300グラムまでだそうです!」

将軍
「遠足か?」

数千人規模の軍隊ともなれば、もはや戦闘集団というより移動する町です。
しかも全員が毎日食べ、水を飲み、薪を使います。

将軍の仕事は敵を倒すことだけではありません。
何千人もの人々を飢えさせず、翌日も動ける状態に保つことも重要な仕事だったのです。

戦争とは戦闘だけではなく、巨大な生活集団を維持することでもありました。

補給線が切れた軍隊は戦う前に負ける

現代の軍隊にはトラックや鉄道があります。
しかし中世にはそんな便利なものはありません。

頼れるのは荷馬車や馬、ラバだけでした。
そして問題は、遠くへ進むほど補給が難しくなることです。

将軍
「食料が足りん。馬を増やせ」

補給係
「増やしました」

将軍
「よし」

補給係
「馬の餌が足りません」

将軍
「では餌を運べ」

補給係
「餌を運ぶ馬が足りません」

将軍
「馬を増やせ」

補給係
「馬の餌が足りません」

将軍
「最初に戻ったな?」

食料を運ぶための馬にも餌が必要です。
荷物を増やせば補給は安定しますが、その荷物を運ぶためにさらに補給が必要になります。

そのため将軍たちは、進軍ルートや野営地、水場の位置まで細かく計算していました。

どれほど強い軍隊でも、食料が尽きれば戦えません。
戦争の勝敗は戦場での戦いで決まるように見えます。

しかし実際には、補給計画の段階で決まっていたことも少なくなかったのです。

なぜ中世の軍隊は略奪したのか?

中世の戦争には略奪がつきものでした。

村が襲われる。
家畜が奪われる。
穀物倉庫が空になる。

もちろん被害を受けた人々にとっては悲劇です。
しかし軍隊側から見ると、それは補給の問題でもありました。

遠征軍が持ち運べる食料には限界があります。
何週間も行軍を続ければ、やがて食料は尽きます。

将軍
「兵士の様子はどうだ?」

部下
「空腹です」

将軍
「食料庫は?」

部下
「空です」

将軍
「補給隊は?」

部下
「三日前から迷子です」

将軍
「ではどうする?」

部下
「目の前に村があります」

将軍
「なるほど」

こうして略奪が起きました。
つまり略奪は単なる残虐行為ではなく、補給手段の一つでもあったのです。

ただし後で大問題になります。

村人
「二度と協力しません」

商人
「商売もしません」

将軍
「あとで統治するときに困るやつだ…」

だから優秀な指揮官ほど略奪を抑え、商人や契約による調達を重視したのでした。

ケニルワース城を倒したのは投石機ではなかった⁉

1266年、イングランドのケニルワース城は長期間にわたって包囲されました。

城壁は頑丈でした。
守備兵もよく戦いました。

敵は何度も攻略を試みます。

城主
「どうだ!」

兵士
「城壁は無事です!」

城主
「よし!」

兵士
「敵の投石機も効いていません!」

城主
「よし!」

兵士
「兵士たちの士気も高いです!」

城主
「完璧だな!」

兵士
「ところでパンがありません」

城主
「ん?」

兵士
「肉もありません」

城主
「ん?」

兵士
「そろそろ靴の方が食料より多いです」

(『鍋で煮込みますか?』というジェスチャー)

城主
「完璧じゃなかったな!」

(『塩はまだ残っているか?』というジェスチャー)

最終的に城は降伏しました。

城壁が壊れたからではありません。
兵士が全滅したからでもありません。

食料が尽きたからです。

中世の包囲戦では、敵の城壁を壊すより先に、相手の食料を減らすことが重要でした。
空腹は、ときに投石機よりも強力な武器だったのです。

最後に

中世の戦争を動かしていたのは、剣や鎧だけではありませんでした。

パン。
馬の餌。
荷馬車。

そうした地味なものが軍隊を支えていたのです。

将軍
「補給はどうだ?」

補給係
「到着が遅れています。街道の一部が崩れていて進めないようです」

将軍
「困るな…」

それから何百年。
荷馬車はトラックになり、街道は高速道路になりました。

物流会社社員
「道路が渋滞していて配送が遅れています」

上司
「困るな…」

技術は大きく進歩しました。
けれど「必要な物を必要な場所へ届ける」という悩みは、案外変わっていません。

そう考えると、高速道路を走るトラックの運転手と中世の荷馬車隊長は、時代を超えた同業者なのかもしれません。

違うのは馬力だけで。

おまけの4コマ

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、無駄雑学などの小噺を発信しています。
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