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“見えない誰か”がそっと立っている気配──脳が仕掛ける錯覚ショーを科学とオカルトの境界で解説

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

誰もいないのに、いる気がする

深夜の帰り道、背後から視線を感じる。
寝室の隅に黒い影が立っている気がする。
あるいはラジオのノイズが「助けて」と語りかけてくる。
……その瞬間、私たちは「見えない何か」に遭遇した気分になります。

しかしご安心を。

多くの場合、それは脳の錯覚です。
しかも、わりときっちり科学で説明できる。
今回は、科学とオカルトの境界線を、ちょっとユーモアをまぶしつつ探ってみましょう。

※本記事はエンターテインメント目的で制作されています。

1. 脳は“雑な編集者”──パレイドリアと予測処理

私たちの脳は、外界の情報をそのまま受け取っているわけではありません。
むしろ「穴埋めの名人」
曖昧な模様に顔を見つける現象(パレイドリア)はその代表例です。

トーストにキリストの顔、雲にパンダの横顔。
脳は「たぶんそうだろう」という仮説を勝手に置き、証拠不十分でも物語をでっち上げてしまうのです。
ニュース編集部よりスピーディーですが、その分フェイクも多い編集者。
それが私たちの脳です。

2. 暗闇は錯覚の舞台装置

夜の廊下で“誰かが動いた”ように見えたことはありませんか? 

暗い場所では視覚の解像度が下がり、代わりに「動き検知モード」が強化されます。
その結果、影や揺らぎを「人影」と誤認しやすくなるのです。

暗闇は、脳にとって最高のホラープロジェクター。
しかも上映料は無料。
恐怖映画好きにはありがたいですが、心臓にはやさしくありません。

3. 背後の気配は“自分の影”だった?

スイスの研究チームは、被験者の動きと触覚をわざとズラす実験をしました。
すると「背後に誰かがいる!」と多くが錯覚したのです。

これは“存在幻覚(FoP)”と呼ばれる現象で、脳が自分の感覚をうまく同期できなかった結果、自分自身を「他者」として感じてしまうのです。

つまり背後の気配は、案外“自分の亡霊”かもしれない。
ちょっとお得な二人暮らしですね。

4. 金縛りはホラーのワンセット

「体が動かない! 部屋に誰かいる!」
──これ、典型的な睡眠麻痺です。

レム睡眠から覚めかけのとき、筋肉がまだロックされたまま意識だけが戻ると、脳は侵入者や影を捏造します。

胸の圧迫感や体外離脱体験もセットで現れることがあり、文化によっては“悪魔の仕業”“妖怪の訪問”として語られてきました。
けれど実際には、寝不足とストレスが招いた“脳の即興ホラー演出”なのです。

5. ノイズが“声”に聞こえるワケ

何の変哲もない雑音が、急に「声」っぽく聞こえることがあります。
これは聴覚パレイドリア
脳が音の隙間を補完し、意味を勝手に与えてしまう現象です。

オーディオ愛好家が「幽霊の声が入った!」と盛り上がるのも、大半はこのトリック。2018年に話題になった「ヤニー vs ローレル」の聞き分け騒動(ある人には“ヤニー”と聞こえ、別の人には“ローレル”と聞こえる音声ミーム)も、同じ仕組みでした。

人間の耳は意外とポンコツで、想像力が過剰サービスするのです。

6. 聞こえない音にビビらされる

インフラサウンド

人間の耳では感知できない低周波(20Hz以下)が、不安感や鳥肌を引き起こすという研究もあります。
古い建物や機械の振動音が、知らぬ間に“幽霊屋敷体験”を演出している可能性があるのです。

「幽霊より先に配管を疑え」というのは、怪談ファンにとってロマンを壊す台詞ですが、科学的には有力なアドバイスです。

7. 現代の妖怪は「一酸化炭素」

頭痛、めまい、混乱、幻覚

これらが同時に起きているとき、真っ先に疑うべきは一酸化炭素中毒です。
過去には「幽霊屋敷」の正体がガス漏れだったケースも報告されています。

もし家族全員が同じ幻覚を見たら、それは霊現象ではなく“環境アラート”
換気扇を回すことが最強のお祓いになるのです。

8. 人は“いない誰か”を勝手に配置する

心理学では、人間の脳には「過敏なエージェント検出装置(HADD)」があると言われます。
茂みの揺れを「風」ではなく「捕食者」と誤認したほうが、生存確率が上がったからです。

つまり、背後に誰かがいると感じるのは“生存本能のお節介”
オカルト体験も、進化の副産物と考えればちょっと愛おしく見えてきませんか?

9. 体験をどう楽しむか

「全部脳のせい」と片づけるのも味気ない。

大切なのは、科学とロマンを両立させる視点です。
記録を取って検証するのもいいし、文化的解釈(妖怪・悪魔・精霊)を味わうのも楽しい。

真実は一つではなく、重なり合う層のように“いくつもの物語”として存在しているのです。

最後に

脳は怖がりで、ロマンチスト

“見えない何か”の正体は
──脳が作った幻、環境が生んだ錯覚、文化が与えた物語
その全部が混ざり合って、私たちをゾワリとさせます。

幽霊を信じるか信じないかはさておき、人間の脳が「世界をどう誤解しているか」を知ることは、ちょっとした知的エンタメです。

次に背筋が寒くなったら、こうつぶやいてみてください。

「また脳が余計な演出をしてるな」

……そう思えるあなたの冷静さこそが、一番の“お守り”なのです。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
このサイトでは、歴史の中に埋もれた謎や、日常でふと引っかかる“気になる話”をもとに雑学記事、4コマ漫画、風刺ショートショートとして発信しています。
テーマはちょっと真面目。
「なんかどうでもよさそうなのに、気になる」
──そんな話を集めて発信しています。
読んだ人の中に“ひとつくらい、誰かに話したくなる話”が残れば嬉しく思います。
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