パン屋はパンを売っていなかった?中世のパン職人の本当の仕事

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

パン屋さん。

やさしい響きです。

小麦の香り。
焼きたての湯気。
にこやかな店主。

いかにも平和です。

……ですよね?

ところが中世ヨーロッパのパン職人は、そんな“ほっこり職業”ではありませんでした

もっと地味で。
もっと暑くて。
もっと監視されています。

え、監視?

中世ヨーロッパ、とくに12〜15世紀ごろの都市では、パン職人はただの料理人ではありません。

町の食料インフラです。

朝のパンが止まると、町の全員の機嫌が一気に悪くなる。

それを絶対に起こさない仕事。

いや、大変。

現代でいえば、コンビニのおにぎり棚と電気とWi‑Fiを足して割らない感じです。

まさに町の生命線。
しかも、失敗が許されない。

さっきの「にこやかな店主像」が消えていくようです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

焼くだけ?それは甘い!

パン職人と聞くと、最後に窯でパンを焼く人を想像しがちです。

こんがり係。

もちろんそれだけで済めば楽なんですが…。

実際の仕事は、そんな一工程では済みません。

粉を確保する。
配合を決める。
生地をこねる。
発酵を見張る。
形を整える。
窯の火を管理する。
焼く。
売る。

結構多い。

というか、ほぼ全部です。

パン職人というより、炭水化物総合プロデューサー。

しかも原料は小麦だけではありません。
ライ麦。
大麦。
オーツ麦。

パンの世界、思ったより雑穀ワールドです。

さらに、誰が食べるかで中身が変わる。

白パンは上層。
黒パンは庶民。

わかりやすい。

高級ライン。
普及モデル。
家計応援版。

中世のパン屋、商品展開してます。

自由?ないです

職人って自由そう。

この味で勝負。

かっこいい。

……と思うじゃないですか。

違います。

かなり管理されています。

都市ではパン職人はギルド所属。

ギルド?

仲良しクラブ?

違います。

ルールの塊です。

品質。
価格。
営業資格。
弟子制度。

全部チェック。

逃げ場なし。

さっき並べたルール、全部守る世界です。

なぜそこまで?

パンが主食だから。

毎日食べるものが変だったら?

はい、町が荒れます。

朝ごはんが止まる。それだけで町が荒れる。

それくらい影響が大きいのです。

7年コース

ところで、パン屋ってどうやってなるのか。

いきなり店主?

無理です。

怖いでしょ。

まず徒弟(見習い)。

住み込み。
食事あり。
給料ほぼなし。

ブラック感あるな。

しかもだいたい7年。

7年。

長い。

パンの作り方教わって小学校終わる。

でも覚えることは多い。

生地。
火加減。
焼き。
販売。
ルール。

ただの料理じゃない。

正しく作る。
正しく売る。
余計なことで怒られない。

ここ大事。

軽い=有罪

中世イングランド。

パン、重要すぎて法律ができます。

パンとエールのアサイズ(パンの値段や重さを細かく決めた法律)。

名前かわいい。

中身こわい。

価格。
重さ。
品質。
利益。

全部決める。

細かい。

発想も独特。

麦が高い→パン軽くなる。
麦が安い→パン重くなる。

値段はそのまま。

中身で調整。

あ、なんか見たことあるやつ。

ただし合法です。

値段据え置きで重さ調整。ここが妙です。

で、軽いと?

アウト。

少しでも?

アウト。

容赦ない。

軽いのが罰。
重いのは怒られない。
そこが理不尽。

なのでどうするか。

パンを売るとき、12個のはずでも1個多く入れる。

つまり13個で1ダース。

これが baker’s dozen(パン屋の1ダース=13個)。

優しさ?

違う。

不足と疑われないための保険です。

主役は窯

パンの主役は?

生地?

……違います。

窯です。

え、そっち?

窯は大きい。
高い。
熱い。
危険。

家庭用ではない。

各家庭で所持するのはまだ難しい。

だから共同窯や専門職人が担当。

なるほど。

つまりパン職人は何者か。

火を扱う人。
温度を読む人。
設備を守る人。

パン版エンジニアです。

パンで階級

パンは主食。

みんな同じ?

……と思うじゃないですか。

違います。

まず、白パン。
細かくひいた小麦で作る、白くてやわらかいパン。
上層向け。

見た目きれい。
口当たりやさしい。
値段はやさしくない。

黒パン。
ライ麦などが混ざる、色が濃くて粗いパン。
庶民向け。

噛みごたえあり。
香りもしっかり。
そして現実もしっかり。

ここで分かれる。

同じ「パン」でも、中身で立場が変わる。

白を買う人。
黒を買う人。

同じパン棚に並んでいても、食卓は別。

白いのは“上の人のパン”。
黒いのは“日常のパン”。

パンの種類にまで差をつける。

ここまで徹底。

朝?夜です

パン職人は何時起き?

気になります。

結論から言うと、かなり早い。

パンは朝から売る必要がある。
しかも窯を温めるのに時間がかかる。

なので、夜明け前から作業開始。

いや、それほぼ夜じゃない?

そこから何をするのか。

まず、こねる。

大量の生地をひたすら。
腕が疲れて動かなくなるやつです。

次に運ぶ。

窯まで何度も往復。
パンって意外と重い。

そして焼く。

火加減を間違えると全部ダメ。
やり直し?できません。

ここプレッシャー強い。

で、朝。

焼きあがったパンを並べて販売。

やっと終わり?

終わりません。

売りながら、次の日の仕込みも進める。

つまり

働く

売る

また仕込む

ループです。

パン職人の一日、わりと容赦ない。

全員出勤

パン職人=屈強な男ひとり。

……と思うじゃないですか。

違います。

家族総出です。

え、店じゃなくて?

家です。

妻がこねる。
娘が運ぶ。
親方が焼く。

家族による分業。

中世の工房は“家業”。
住まいと職場が一体で、労働力は基本的に家族。

つまり

一人で回す店ではない。
家で回す工場です。

なるほど、逃げ場がない。

表札は親方。
中身はチーム。

表に一人、裏で全員。

当時のパン屋は、見えない裏側で家族全員がずっと働いているタイプ。

最後に

胃袋そのもの

パン職人って、結局なにしてる人?

焼いてる人?

……それだけじゃない。

パンを絶対に途切れさせない人。

朝のパンが一度止まると、町は一気に荒れる。

だから止めない。

止められない。

守る。
支える。
止めない。

かっこよく聞こえる?

現場はこれ。

重い。
暑い。
粉だらけ。

さらにこれ。

軽いと怒られる。
焦げても怒られる。
遅れても怒られる。

どこで失敗してもアウト。

でも毎朝、パンは並ぶ。

ここがすごい。

つまり何者か。

パンを焼く人じゃない。町を回す人。

中世パン職人。

町の胃袋そのもの。

じゃあ、あの店は何を売ってる?

パン。

……だけじゃない。

そう、安心を売ってる。

夜明け前の作業と
秤と
窯の熱ごと。

次にパン屋に入ったとき。

あの一個。

ただのパンに見えますか?

その裏では、夜明け前から作業が始まって、重い生地をこねて、窯を温めて、重さを量って。

全部ミスできないまま、やっと並ぶ一個です。

そう考えると。

ちょっと値段、安く見えてきません?

それとも。

何も考えずに、クリームパンいきますか?

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佐藤直哉(Naoya sato-)
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