エレベーターは、なぜ僕を無視するのか?――ボタンを押しても来ない「本当の理由」
はじめに

押した。来た。そして通過した
エレベーターのボタンを押します。
ランプが点灯。
表示を見ると、
こちらへ近づいてきます。
「来た」
ところが。
そのまま通過。
扉は開きません。
男性が、
もう一度ボタンを見ます。
「……押したよね?」
ちゃんと光っています。
故障でしょうか。
それとも、
誰かに先を越されたのでしょうか。
でも、
エレベーターは正常でも、
あなたの階を通過することがあります。
そもそもエレベーターは、
押した人から順番に迎えに来る機械ではないのです。
※本記事は筆者個人の感想をもとに制作されているため、正確ではない情報の可能性があります。
一番近いエレベーターが来るとは限らない

エレベーターが2台あります。
A号機は、
あなたの2階上。
B号機は、
5階上。
普通なら、
A号機が来そうです。
ところが。
B号機が来ます。
男性。
「そっちなの!?」
故障ではありません。
複数台あるエレベーターは、
どの1台を向かわせるか、
まとめて計算しています。
A号機を別の場所へ回した方が、
ビル全体では待ち時間が短くなる。
そう判断すれば、
近い方は来ません。
しかも現在は、
今いる客だけではなく、
この先どこで人が乗りそうかまで予測する仕組みもあります。
では、
近くまで来たエレベーターが、
本当に目の前を通過することもあるのでしょうか?
来たのに、止まらない

表示が、
8階。
7階。
6階。
自分は5階です。
男性が、
扉の前へ立ちます。
「よし、来た」
5階。
……開かない。
そのまま、
4階。
男性。
「通ったよね?」
ボタンを見ると、
ちゃんと光っています。
押し忘れでもありません。
故障とも限りません。
エレベーターには、
中が混んでいると、
呼ばれていても止まらない機能があります。
しかも場合によっては、
まだ少し乗れそうに見えても通過します。
待っている側からすれば、
理由なんて見えません。
見えるのは、
自分の階だけ素通りしていく箱。
機械には合理的。
待っている人には、ただの無視です。
その1台だけ、あなたを無視する

エレベーターが、
3台並んでいます。
男性がボタンを押します。
左の1台が、
すぐ近くまで来ています。
「これだな」
ところが。
その1台だけ、
止まりません。
そのまま通過します。
男性。
「なんで?」
故障とは限りません。
エレベーターには、
1台だけを通常の運転から外して、
VIP専用にする機能があります。
そうなると、
一般客がボタンを押しても、
その1台は迎えに来ません。
見た目は、
普通に動いています。
でも、
そのエレベーターが迎えに行く相手は、もう決まっています。
あなたが押したボタンは、
別のエレベーターに任されます。
誰も呼んでいないのに、勝手に動く

夜。
エレベーターの前を通ります。
誰も乗っていません。
誰もボタンを押していません。
なのに。
表示が、
ゆっくり動き始めます。
男性。
「……誰が呼んだ?」
誰も呼んでいません。
エレベーターには、
利用者がいないとき、
人が来そうな階へ先に移動しておく機能があります。
朝なら上の階。
夕方なら出入口。
ホテルならフロント。
人の流れに合わせて、
待つ場所まで変えるのです。
つまり、
エレベーターは、
呼ばれてから動くとは限りません。
次の客が来る前に、もう待ち伏せしているのです。
最後に

エレベーターが運んでいるのは「あなた」ではない
朝。
男性がボタンを押します。
来ません。
表示を見ると、
1台は上へ。
もう1台は下へ。
男性。
「……俺のは?」
でも、
エレベーターから見れば、
待っているのは一人ではありません。
誰を先に乗せるか。
どこで待つか。
どこを通過するか。
ずっと計算しています。
だから、
近いのに来ない。
目の前を通過する。
呼んでいないのに動く。
僕たちは、
ボタンを押した瞬間から、
「自分を迎えに来る機械」
だと思っています。
でもエレベーターが見ているのは、
建物の中を動く、たくさんの人です。
男性は、
まだ光っているボタンを見ます。
「……で、俺はいつ乗れるの?」
全体では効率的。
待っている本人には、あまり関係ありません。

