ゲームの話
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心が折れるほど自由で、気づけば人生になっていた――無職から領主まで人生が転がる神ゲー『Kenshi』

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

荒野の真ん中で、あなたは目を覚ます。

持ち物は、ボロ布みたいな服と、申し訳程度の剣一本。財布は空っぽ。
周囲には、見るからに強そうな野盗、カニバル、奴隷商人、巨大な虫、そして「近づいたら人生終了」系の生き物たち。

……いや、ここどこ?

チュートリアル?→ありません。

親切な案内人?→いません。

あなたは選ばれし勇者?→残念。ただの無職です。

これが『Kenshi(ケンシ)』というゲームの世界。

ちなみにこの世界、全部が荒野というわけではありません。
砂漠もあれば、沼地もあり、酸の雨が降る土地や、雪原、毒ガス地帯まで存在します。

ただし共通点はひとつ。
――だいたい全部、文明が崩壊して荒廃している。

普通のゲームなら、ここで神様が降りてきて「さあ、世界を救うのです」とか言いそうなものですが、Kenshiは言います。

「まず、生き延びろ」と。

このゲーム、プレイヤーに優しくありません。

でも――
だからこそ、めちゃくちゃ面白い。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

どこから始まってもだいたい無職ライフ

Kenshiは、いわゆるRPGです。
ただし、ストーリーは用意されていません。

あるのは、870平方キロメートルという広すぎる世界と、あなたの行動だけ。

商人になるもよし、盗賊になるもよし、農民になるもよし、反乱軍のリーダーになるもよし。

……いや、まずはホームレスから始まりますが。

ゲーム開始直後のあなたは、ほぼ最弱。

レベルスケーリング?
そんな甘い仕組みはありません。
通りすがりの農民にも負けます。

野犬や野党にも追いかけられます。
正直、最初の数時間は「これ本当にゲーム?」ってなります。

でもここで投げないでほしい。
なぜならKenshiは、負けた瞬間からが本番だからです。

上手く負けるほど強くなる世界

Kenshiの戦闘はリアルタイム。
そしてダメージは見た目だけじゃありません。
受けた傷が、そのまま行動不能や敗北につながります。

脚をやられたら、歩けなくなる。
腕をやられたら、剣が振れなくなる。
血を流し過ぎれば、その場に崩れ落ちる。

要するに、戦えば戦うほど体はボロボロになっていくタイプのRPGです。

で、負けるとどうなるか。

だいたい、こうなります。

・その場で倒れる
・野盗に囲まれる
・装備を剥がされる
・運が悪いと、カニバルに捕まって食われる
・奴隷として連行される
・さらに運が悪いと、動物に生きたまま食われる

……ゲームオーバー?

いいえ、続行です。
(ただし、生きていた場合に限る)

牢屋に入れられ、足枷をつけられ、強制労働。

ここからが、あなたの第二の人生の始まり。
逃げるか、従うか、仲間を集めて反乱するか。

選択肢は無限。

負けたら終わりじゃない。
負けたところから、物語が転がり始める。

そしてこの「どん底からの再スタート」こそが、Kenshi最大の中毒ポイントです。

砂埃の匂いと鉄の味

夜の荒野。

風が吹き、砂が頬に当たってチクチクする。
遠くで獣の鳴き声が響く。

仲間は血を流して倒れている。
呼吸は浅く、今にも止まりそうだ。

あなたは仲間を肩に担ぎ、必死に歩く。

喉はカラカラ。
口の中には鉄の味が広がる。

背後から、カサカサという音。

……あ、これ絶対ヤバいやつ。

振り返ると、巨大な虫がこちらを見ている。

走れない。
脚はさっき折られた。

這うしかない。

画面の中のキャラも、画面の外のあなたも、息を止めている。

――生き残れ。

それだけが、今の目的だ。

人生、仲間と街ができてから

何度も倒れ、何度も捕まり、何度も逃げているうちに。
いつの間にか、あなたは強くなっています。

剣を振るのがうまくなり、走るのが速くなり、打たれ強くなる。
Kenshiは「使えば使うほど強くなる」世界。

つまり、負けた分だけ成長します。
(但し、そのままキャラクターロストすることもあるので上手く負けるのが重要!)

気づけば仲間が増え、分隊になり、やがて軍団になる。
そして、拠点を作り始める。

畑を耕し、壁を建て、研究所を建て、武器や防具を作る。

最初はただの無職だったあなたが、いつの間にか領主になっている。
……え、俺こんな人生歩む予定じゃなかったんだけど。

でも不思議と嫌じゃない。

優しくない世界は、やたらリアル

Kenshiの世界は、基本的に世紀末です。

奴隷制が普通に存在し、貧乏人は犯罪者扱い。
カニバルがいて、宗教国家があって、軍国主義の国もある。

善と悪の境界線は曖昧で、正義は立場によって変わります。
あなたが誰を助け、誰を倒すかで、世界の勢力図も変わる。

この世界に「絶対的な正解」はありません。

あるのは、あなたの選択だけ。
そして、その結果としての物語だけです。

1000時間が一瞬で消える理由

Kenshiは「時間泥棒」です。

気づくと朝。
気づくと夜。

「今日は街の壁だけ作ろう」と思ったら、いつの間にか戦争してます。
しかもMODで世界はいくらでも拡張可能。

新しい派閥、新しい装備、新しい生き物。
沼に底はありません。

12年かけて作られたこの世界は、遊ぶ側の人生も平気で持っていきます。
……怖いですね。

でも、ちょっとワクワクしません?

「選ばれし者」じゃないから、物語になる

Kenshiの開発者は言いました。
「成功させてくれるゲームは退屈だ」と。

だからこのゲームには、都合のいい奇跡も、導いてくれる神様もいません。
あるのは、理不尽と、偶然と、努力だけ。

そしてその積み重ねが、あなただけの物語になる。

物語を“読む”ゲームではなく、
世界で起きたことが、そのまま“自分の物語”になるゲーム

それがKenshiです。

最後に

【ゲーム基本情報】
・タイトル:Kenshi(ケンシ)
・開発:Lo-Fi Games(イギリス)
・ジャンル:オープンワールド・サンドボックスRPG
・正式リリース:2018年12月6日
・価格:3,500円前後(Steam)
・販売本数:230万本突破(2024年時点)

荒野を歩くあなたの背中は、相変わらず小さい。
世界は広く、過酷で、容赦がない。

でも、その背中にはもう、仲間がいて、街があり、守るものがある。

あの日、ボロ布一枚で立っていた無職は、もういない。

風は今日も砂を運び、沼は静かに泡立ち、雪原は無言で広がる。

それでもあなたは歩く。

この世界で生きた証を、ひとつずつ残しながら。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、小噺を発信しています。
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