日常のふしぎ
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なぜ人は同じ忘れ物を何度もするのか?脳のクセが生む“うっかり地獄”

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

朝の玄関。靴ひもを結びながら、ポケットをポンポンと叩く。

「財布よし、スマホよし、鍵よし……完璧!」

そう思ってドアを閉めた三分後、エレベーターの鏡に映る自分の顔が、なぜか少し青ざめています。

——あ、傘。

今日はしっかり雨予報だったはずなのに、右手は見事にフリーハンド。

人はなぜ、こうも同じ忘れ物を何度も繰り返してしまうのでしょうか?
「またやった……」と空を仰ぐたび、自分の脳に軽く裏切られた気分になります。

でも、ここで自分を責めるのはまだ早い。
忘れ物は性格の問題でも、記憶力の問題でもありません。

むしろそれは、人間の脳があまりにも優秀で、あまりにも省エネ設計すぎるがゆえに起こる“仕様”なのです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

忘れ物は記憶力の問題じゃありません

「忘れ物が多い人は記憶力が悪い」

これはよくある誤解です。
実際は「覚えていなかった」のではなく、「その瞬間に思い出せなかった」だけ。

脳の中にはちゃんと記憶はあるのに、取り出すタイミングを逃してしまうのです。

たとえば、

・家を出るときに傘を持つ
・会社を出るときに書類を持って帰る
・帰宅途中に牛乳を買う

こうした「あとでやること」を思い出す力は、脳の未来リマインダー機能みたいなもの。

ところがこのリマインダー、けっこう気まぐれでして。
通知設定してるのに鳴らないスマホのように、肝心なときに沈黙することがあるのです。

脳はあなたの人生をオート運転しています

人間の脳はとても優秀です。
同時に、とてもズボラでもあります。

毎朝の支度、通勤ルート、鍵を閉める動作。
これらはすべて「自動運転モード」で処理されています。

なぜなら、いちいち考えていたら脳が疲れてしまうから。

歯磨きをするときに、
「よし、まず右上の奥歯から……」なんて考えないのと同じです。

ところがここにイレギュラーが入ると、脳は途端に混乱します。

・今日は傘を持つ
・今日は資料を入れる
・今日は提出物がある

こうした“いつもと違う”は、自動運転のルートに登録されていません。

その結果、脳はこう判断します。

「はい、いつもの出口で降りますね」

そしてあなたは、いつものように家を出て、
いつものように駅に向かい、
いつものように改札を通り、

——いつものように忘れ物をするのです。

忙しい朝ほど、脳はポンコツになります

ここで少し、朝のワンシーンを想像してみてください。

目覚ましのアラームが鳴り止まない。
キッチンからはトーストの焼ける匂い。
洗面所では歯ブラシがカチカチと歯に当たる音。
スマホは「今日の天気は雨です」と冷静に告げてきます。

その横で、LINEの通知が三件、会社からのメールが二件。
テレビでは「本日の運勢ランキング」

……脳、完全に情報の満員電車です。

人の脳が一度に扱える情報は、せいぜい数個程度。

朝の支度は情報のラッシュアワー。
そこへ
「傘を持つ」
「資料を入れる」
「水筒を持つ」
と追加タスクが乗り込めば、

誰か一人くらいホームに置き去りになります。
だいたい傘です。

なぜ“同じもの”を何度も忘れるのでしょうか

ここが本題です。
なぜ人は、同じものを何度も忘れるのでしょうか。

それは脳がこう学習しているからです。

「前回もなんとかなりましたし」

一度傘を忘れてもコンビニで買えます。
書類を忘れても「すみません」で済みます。

すると脳はこう判断します。

「まあ、致命傷ではないですね」

その結果、次回も同じルートで自動運転を続けてしまいます。

忘れ物はこうして“癖”になります。

しかも「今日は絶対忘れちゃダメですよ」と強く意識すると、
かえって緊張して注意力が散漫になります。

テストのときに限って名前を書き忘れるのと同じ現象です。
人はプレッシャーに弱い生き物なのです。

忘れ物は「覚える」より「条件反射」にしましょう

ここからは、忘れ物を減らすための具体策の話です。

忘れ物は気合では減りません。
ですが、仕組みで減らせます。

ポイントは、脳に考えさせないこと。
おすすめは「もし〜なら、〜する」というルール作り。

「もし玄関に立ったら、鍵・財布・スマホを触る」

「もし改札に着いたら、定期を確認する」

条件と行動をワンセットにして、反射レベルまで落とし込みます。

さらに環境にも覚えさせましょう。

・持っていく物を靴の上に置く
・玄関に忘れ物ゾーンを作る
・ドアに付箋を貼る

脳よりも、部屋のほうが記憶力は優秀です。
あなたの頭は信用しなくて大丈夫。
床とドアを信用しましょう。

スマホは最強の記憶泥棒です

現代人最大の敵について触れておきます。

それは『スマホ』です。

スマホは便利ですが、あなたの注意力を少しずつ盗んでいきます。

通知、ニュース、SNS、天気、芸能ゴシップ。

朝の脳はすでに満員電車なのに、
スマホは無理やり乗り込んできます。

その結果、傘はホームに置き去りになります。

出発前の5分だけでも、スマホを見ない。
それだけで忘れ物の確率はきっと下がります。

最後に

夕方、帰り道のコンビニで買ったビニール傘を片手に、ふと空を見上げます。

朝よりも雨は強くなっています。
透明な傘越しに街のネオンがにじむ。

今日もまた、忘れ物に振り回されながら一日が終わりました。

人間は完璧ではありません。

でも、不完全だからこそ、
同じ失敗をしながら、
少しずつ自分の取り扱い説明書を増やしていきます。

忘れ物は、脳が出している「ここを少し直せば、もっと楽になりますよ」という合図なのかもしれません。

慌ただしい毎日の中で立ち止まるきっかけをくれる、ささやかな合図なのです。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、小噺を発信しています。
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