【水って味あるの?】ミネラルで“うまい・まずい”が決まる話
はじめに

コンビニで水を買うとき、こんなこと思ったことありませんか?
「水なんてどれも透明だし、正直どれでも同じでしょ」
――はい、出ました。
人類が一度は必ず踏む“水=無個性説”。
その瞬間、あなたは知らぬ間に水界隈の入口で盆踊りを踊っています。
しかも太鼓はミネラル。
いいですか、水は確かに透明です。
でも味は、思った以上に人格が強い。
優しい顔して実は頑固、みたいなタイプ。
しかもその性格診断の9割は、ミネラルの種類と量で決まります。
血液型より信頼できます(※個人の感想です)。

ここから先は、水の中身をちょっとだけ覗き見する時間です。
主役になるのは、カルシウム・マグネシウム・サルフェート(硫酸イオン)。
いずれも水の味を陰で操る、いわば水界の主要キャスト。
この3人がどう働くのかを知るだけで、ペットボトル裏面の数字が急に意味を持ち始めますし、ブランドごとの「なんとなく好き・苦手」にも理由が見えてきます。
読み進めるうちに、あなたの視線は自然と裏ラベルへ移動しているはずです。
そして次に誰かと水を飲んだとき、思わずこんなことを考えます。
「……あ、これMgが張り切ってる味だ」
口には出さないでください。
出すと空気が一瞬止まります。
でも心の中でニヤリとする分には問題ありません。
それが“水を知った者”の、ちょっとした特権です。
※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

水の味の正体は「イオン」と「量」

■つまり見えない“調味料”
「水に味なんてある?」と聞かれたら、多くの人は一瞬考えてからこう答えるはずです。
「……ない、よね?」
でも実際は、あります。
しかも意外としっかり。
水は自分から主張しないだけで、裏ではちゃんと仕事しているタイプです。
水の味を決めている正体は、ざっくり言うと次の3つ。
- 水に溶け込んでいる ミネラル(イオン)
- その 量(=硬度やTDS。TDSは Total Dissolved Solids の略で、水に溶け込んでいるミネラルなど“成分の総量”を示す数値。要するに「この水、中身どれくらい詰まってる?」をざっくり教えてくれる目安です)
- 炭酸などの刺激
「イオン」と聞くと、急に理科室の匂いがしてきますが、身構えなくて大丈夫。

要は 水の中に溶けたミネラルの小さな粒だと思ってください。
ゴマ塩の“ゴマ”みたいなものです(※水は透明ですが、気分の話です)。
で、この粒の種類と数が変わると、舌の反応も変わります。
- 苦味を感じたり
- ほんのり塩っぽかったり
- 渋みが出たり
- なぜかコクがあったり
- 口当たりが重かったり軽かったり
「ちょっと待って、水にコク?」と思いましたよね。
なんなら「それ、もうスープでは?」と思ってしまいます。
でも硬度が上がると、確かに“飲みごたえ”が出てくるんです。
水なのに腹落ちする感じ。
説明しづらいけど、飲むと分かる。
……ほら、もう水を疑い始めているでしょう?
水界隈、油断するとすぐ沼です。
まず押さえる3人組

■Ca(厚み担当)/Mg(苦味担当)/SO₄(クセ担当)
ここからが本題。
水の味をキャラ付けする三銃士を紹介します。
1) カルシウム(Ca)—「厚み・コク」担当

カルシウムは、水に 丸みや 厚みを足す存在。
- まろやかに感じる
- 飲みごたえが出る
一方で、量が増えすぎたり、塩の種類によっては 渋み・苦味寄りに感じることもあります。
料理で言うと、カルシウムは“だし”のようなもの。
少し入ると味がまとまるけど、入れすぎると「主張しすぎてスープが濁る」みたいな。
2) マグネシウム(Mg)—「苦味〜にがし」担当

マグネシウムは硬水の“クセ”を作る代表格。
- 典型的に 苦味
- 人によっては「にがしっぽい」(喉への違和感?)
スポーツドリンクのミネラル感が好きな人は、Mgが多めの水を「効いてる気がする!」と感じがち。
逆に、普段軟水に慣れている人は「うっ…これは大人の味…」となりやすい。
大人の味って、だいたい苦い(偏見)。
3) サルフェート(硫酸イオン / SO₄²⁻)—「クセ・輪郭」担当

サルフェートは、一定以上で はっきりクセが出ます。
- 苦味
- ミネラル感
- キレのある輪郭
例えるなら、サルフェートは“香辛料”。
ちょっとならパンチ。
多いと「これはカレーなの?薬膳なの?」となる。
特にヨーロッパ系の水で存在感を出しがちで、炭酸水と組み合わさると“硬派な食中水”になります。
「硬度」を味の地図にする

■裏ラベルで一番使える数字
裏面表示で、まず最初に見るべきは 硬度。
硬度は、基本的に カルシウムとマグネシウムの合計パワーです。
計算できる式がこちら。
硬度(mg/L)= Ca(mg/L)×2.5 + Mg(mg/L)×4.1

ポイントは Mgの係数が大きいこと。
つまり、同じ量でもMgは硬度に効きやすい。
苦味担当、仕事が早い。
硬度の目安(ざっくり)
- 0〜100:軟水(すっきり、クセ少なめ)
- 100〜300:中硬水(ほどよい飲みごたえ)
- 300以上:硬水(ミネラル感が強く、好みが割れる)
人間関係と同じで、クセが強いほど刺さる人には刺さります。
ペットボトル裏面表示の読み方

■ここだけ押さえれば勝ち
「裏ラベルは文字が小さいし、情報が多くて読む気がしない」
……はい、正常です。
あれはほぼ視力検査+集中力テスト。
水を買いに来ただけなのに、なぜか眼精疲労だけ持ち帰ることになります。
でも安心してください。
全部読む必要はありません。
というか、読んだら負けです。
見るべき場所は、実はほんの数か所。
そこさえ押さえれば、裏ラベルは一気に“使える情報源”に化けます。
1) 「100mLあたり」表記の罠

まず最初につまずくのが、この100mLあたり問題。
日本のミネラルウォーターは、なぜか律儀に100mL基準で書かれています。
500mLボトルを持ちながら100mLの話をされても、脳が一瞬フリーズします。
ここは深く考えず、合言葉はこれだけ。
- 1Lあたりにしたい → ×10
例:Ca 0.64mg/100mL → Ca 6.4mg/L
はい、終了。
これだけで海外の成分表(mg/L)とも普通に殴り合えます。
2) ナトリウムは“食塩相当量”に変装してくる

裏ラベルでよく見る「食塩相当量」
「水なのに塩?」
「いや、これはスープ?」
と一瞬ザワつきますが、落ち着いてください。
これはほぼ ナトリウム由来。
水がしょっぱくなったわけでも、製造ミスでもありません。
ただの表示ルール上のコスプレです。
なので、「食塩相当量がある=味が濃い水」という短絡思考は封印でお願いします。水は無罪です。
3) 味の予想に本気で効くのは、この3つだけ

細かい数字を全部覚える必要はありません。
見るのはこの3項目だけでOK。
- 硬度:この水の“性格”。おとなしいか、主張強めか
- Ca / Mg:コク寄りか、苦味寄りかの方向性
- SO₄(サルフェート):クセの強さ。スパイス枠
この3点セットを押さえるだけで、裏ラベルはもはや暗号ではなく、水の履歴書になります。
あとは飲むだけ。
答え合わせは、あなたの舌がしてくれます。
ブランド別に「水のキャラ」を飲み分ける

■実生活に落とす
ここからが楽しいところ。
ブランドを“味の人物像”にしてしまいましょう。
■ い・ろ・は・す(採水地で変わる軟水)
硬度が低めで、総じて やわらかい。
「水の優等生」
自己紹介でも失点しないタイプ。
採水地で硬度が変わるので、飲み比べすると意外と盛り上がります。(大人の自由研究⁉)
■ クリスタルガイザー(軟水・すっきり)
軟水でクセが少ない。
「会話がうまい人」みたいな水。
裏ラベルの数字を×10してmg/Lに直すと、比較の練習にもなります。
■ Volvic(軟水寄りのフランス勢)
フランスなのに比較的飲みやすい。
「海外旅行の最初の一杯にちょうどいい水」
火山由来のミネラル感はあるけど、主張は強すぎない。
■ evian(中硬水〜硬水の“厚み”)
カルシウムが効いていて、飲むと 輪郭が出ます。
「ちゃんとしたレストランのパン」みたいな水。
毎日ゴクゴクより、食事や運動後の“水分補給を丁寧にしたい日”に合う。
■ Contrex(超硬水・クセの王)
硬度が突き抜ける。
一口目で「おっ…これは…」となる人多数。
例えるなら、コントレックスは“ベテラン俳優”。
- 迫力がある
- 好きな人は沼る
- でも初対面では緊張する
冷やすと飲みやすく感じることもあるので、挑戦するならキンキンで。
■ S.Pellegrino(炭酸×サルフェートで食中の硬派)
炭酸の刺激に加えて、ミネラルの輪郭がはっきり。
「食事中に“水で口を整える”」という使い方がハマります。
炭酸水は、ただのシュワシュワではなく“食のリセットボタン”。
水なのに、ちょっと粋。
使い分けの結論

■水は“目的別に選ぶ”と急に楽しくなる
水選びは、恋愛と似ています。
「誰にでも好かれる」を狙うと、無難になりがち。
でも、目的が決まると選びやすい。
- 毎日ゴクゴク:軟水(硬度低め)
- 運動後・ミネラル意識:中硬水〜硬水
- 食事と合わせる:炭酸水、輪郭強め
- クセを楽しむ:超硬水(ただし腹と相談)

そして裏ラベルを見るときは、
- 硬度
- Ca/Mg
- SO₄
- 100mL表記なら×10
これだけ。
最後に

透明なものほど、情報が詰まっている
水は透明で、静かで、自己主張もしない。
……と見せかけて、実はかなりのおしゃべりです。
ただし声が小さい。
囁き声で成分表を語ってくるタイプ。
カルシウムが厚みをつくり、マグネシウムが苦味を足し、サルフェートが輪郭を描く。
誰が前に出るか、誰が一歩引くか。
そのバランスひとつで、同じ透明でも印象はガラッと変わります。
それって、少し人間関係っぽくないですか?
派手じゃないけど、よく見ると個性はちゃんとある。
静かな人ほど、実は情報量が多い。
水もだいたい同じです。

次にコンビニで水を手に取ったら、ほんの数秒でいいので裏ラベルを眺めてみてください。
そして一口飲んだ瞬間、心の中でそっとつぶやきます。
「……ああ、今日はMgが前に出てる日か」
誰にも聞かれなくて大丈夫。
むしろ聞かれないほうがいい。
水は今日も透明な顔をして、静かに語っています。
聞く耳を持った人にだけ。
——それが、水のいちばん面白いところです。


