なぜアプリではなく“カード”が未だに廃れないのか――物理カードがデジタル化に抗う5つの理由
										はじめに

スマホ全盛時代にカードが生き残る不思議
スマホで決済、ポイントもアプリで一括管理――。
そんな「財布のデジタル化」が進む中で、なぜ私たちは未だにプラスチックカードを手放さないのでしょうか?
財布の中でジャラジャラと重なるカードたち。
正直、ミニマリストからすれば「無駄の象徴」とも言われかねません。
ところが実際の統計を見ると、世界中でカード決済は依然として主役。
イギリスでは100ポンド以下の買い物の94.6%がカードタッチ、アメリカでは家計支出の6割以上がクレジットかデビットカード。
どうやらカードは「しぶとい古株」どころか「現役のエース」なのです。
では、なぜカードは廃れないのか? 
その理由を5つに分けて解説します。
※本記事はエンターテインメント目的で制作されています。
1. レジ側の“普遍性”とタップの速さ

スマホ決済は便利ですが、対応端末がなければ使えません。
その点、カードリーダーは世界中のレジにほぼ標準装備。
「タップするだけ」のスピード感を最も体現しているのはカードです。
言ってみれば、カードは決済界の「USBポート」
どんな店でも差し込めば大体使える。
スマホアプリはまだ「規格戦争」まっただ中なのです。
2. 電池いらず&オフラインに強い

スマホ決済で一番ヒヤッとする瞬間
――「電池残り1%」の通知。
これではレジ前で立ち往生です。
(予備電力が残っていれば使用できる可能性もありますが……)
一方カードは電池不要。
しかもEMV規格のカードは“オフライン承認”が可能で、通信障害時でも条件付きで利用できます。
停電や災害時に頼りになる、まさに「最後の砦」
スマホが最新鋭の戦闘機なら、カードはいつでも飛べる「頑丈な旧型機」
いざという時、安心できるのは後者かもしれません。
3. 安心感と心理的な所有欲

「カードを手にして支払う」という行為には、人間特有の安心感があります。
心理学では“Mere Touch効果”と呼ばれ、触れるだけで価値を高く感じる現象が知られています。
スマホは合理的ですが、「手に持つカードの重み」が所有感や信頼感を強化します。
さらにゴールドやブラックといった券面デザインは、「見せるためのツール」としての役割も健在。
アプリではなかなか「ドヤ顔」できません。
4. 用途の幅広さと文化的な定着

カードは決済だけではありません。
ギフトカード、プリペイド、交通系IC、社員証や入館証など、生活のあらゆる場面で活躍しています。
2024年のギフトカード市場は9,500億ドル規模、2034年には2兆ドル超に成長する予測もあります。
贈り物として「形が残る」ことは、デジタルコードでは代替しきれない価値です。
つまりカードは「単なる決済ツール」を超え、社会的儀式の小道具として文化的に根付いているのです。
5. 国・世代・シーンをまたぐ“橋渡し”力

デジタルウォレットが主流の国もあれば、依然として現金やカードが中心の国もあります。日本でもキャッシュレス比率はまだ42.8%。
高齢者や観光客にとっては、カードの方が安心なのです。
つまりカードは世代や国境を超えた「誰でも使える共通言語」
アプリが“新しい方言”だとすれば、カードは“世界共通語”の地位を守り続けているのです。
最後に

アプリ vs カードではなく、アプリ × カード
ここまで5つの理由を見てきましたが、結論は明快。
物理カードは消えないどころか、デジタル時代だからこそ強みを発揮しています。
ただし「アプリかカードか」の二択ではありません。
最適解は「アプリ × カード」
普遍性と安心感を担保するカードに、アプリがパーソナライズやポイント連携といった付加価値を重ねる。
それが現代のリアルな財布の姿です。
最後にひとつ。
財布に数枚のカードが入っている光景を「時代遅れ」と笑う人もいるでしょう。
でもそのカードは、災害時のライフラインであり、世代を超えたコミュニケーションツールであり、時には「ドヤ顔」の小道具でもあります。
スマホ画面に収まらない、このアナログの余白こそが、人間らしい安心感なのかもしれません。

