カードという文化
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カード文化のはじまりは“牛乳キャップ”だった?──遊戯王・MTG・プロ野球カードの系譜を辿る

佐藤直哉(Naoya sato-)
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はじめに

財布の中にはクレジットカード、机の引き出しには古びたプロ野球カード、そして押し入れの奥からは遊戯王やポケモンカードがひょっこり顔を出す。

気づけば、私たちの生活は「カード」に囲まれています。
でも、その文化の起点はどこなのか?
まさか牛乳キャップ──POGs(ポグス)──がその始まりなのでしょうか?

結論を先に言えば、「ノー」

POGsは確かに90年代を彩った“支流”ではありますが、カード文化の本流は19世紀のタバコカードや日本のメンコまで遡ります。

ここでは、その歴史をユーモアと少しの皮肉を交えながら振り返ってみましょう。

※本記事はエンターテインメント目的で制作されています。

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牛乳キャップ=POGsの正体

1990年代、アメリカの小学校で爆発的に流行したPOGs(ポグス)。

ルールはいたってシンプル。
牛乳キャップを積み上げ、専用の厚い円盤で弾き飛ばし、裏返ったものをゲットする。
言うなれば「アナログ版バトルロワイヤル」です。

この遊び自体は1920年代のハワイで生まれ、90年代にオアフ島の教師ブロッサム・ガルビソが授業に取り入れたことで大ブームになりました。
名前の由来はジュースブランド「Pog(パッション・オレンジ・グァバ)」のキャップから。
聞こえは「教育とマーケティングの融合」ですが、実際は「授業中に堂々と遊べる口実」だったわけです。

さらにルーツをたどると、日本から移民が持ち込んだ「メンコ」に行き着きます。
つまりPOGsは「日本メンコ × ハワイ文化 × 商業化」が掛け合わさった現象。

カード文化の起点というより、支流のスターだったのです。

19世紀、タバコとスポーツが育てたカード

カード文化の本流はどこにあるのか?

答えは1887年、米国のタバコブランド「Allen & Ginter」が配布したトレーディングカードです。
野球選手やボクサーを印刷した「World’s Champions」シリーズは、コレクションの魅力を一気に広めました。

当初はタバコ箱の強度を保つ“おまけ”でしたが、やがて「推し選手」を集める遊びに進化。
20世紀に入るとガムとセットで販売され、1952年Toppsのミッキーマントルカードは今も数億円で取引されます。

かつては商品保護だった紙片が、今や富裕層の投資対象。
営業マンが知ったら腰を抜かすでしょう。

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日本のカード土壌:メンコからカルビーまで

日本では「投げて裏返す」メンコが古くから親しまれていました。
江戸時代にはすでに存在し、明治末には紙製が普及。
1897年には「野球メンコ」が登場しています。
つまり日本の子どもたちは100年以上前からカードを投げ飛ばして遊んでいたのです。

1920年代には写真印刷の「ブロマイド」がブームに。
大学野球スターや来日チームのカードを集める姿は、現代でいう“推し活”にそっくりです。

そして1973年、カルビーが革命を起こします。
「プロ野球スナック」にカードを付けたのです。
初代No.1は長嶋茂雄。
その後毎年シリーズが続き、“年次で集める文化”が定着しました。
プロ野球とポテトチップス、どちらが主役かわからなくなった瞬間です。

MTG→ポケカ→遊戯王:遊べるカードの誕生

「集める」だけでなく「遊ぶ」カードを生んだのが、1993年の『Magic: The Gathering』

数学者リチャード・ガーフィールドが生み出したこのゲームは、カードを資源にして魔法やモンスターを繰り出すという斬新さで世界を席巻しました。
集める喜びに戦略性が加わり、カード文化は新時代へ突入します。

1996年には『ポケモンカードゲーム』が日本で発売。
アニメやゲームとの相乗効果で子どもから大人まで熱狂しました。

そして1999年にはコナミの『遊戯王OCG』が登場。
漫画で描かれた“デュエル”をそのまま体験できる仕組みは革命的で、2009年にはギネス認定の世界最多販売TCGに。
遊戯王カードは「紙の株券」どころか「紙の神話」になったのです。

カード文化を動かす三つの欲望

ここまでを整理すると、カード文化は次の三つの欲望によって進化してきました。

  1. 収集欲
    お気に入りを集めたい。
    19世紀のタバコカードからカルビー野球カードまで、人は“コンプリート”に弱い。
  2. 競技欲
    勝負したい。
    メンコやPOGsの裏返し勝負が、MTGや遊戯王のデッキ戦略に発展。
  3. 年次欲
    時間を積み重ねたい。
    カルビーやToppsの年次シリーズが、世代を超えたノスタルジアを育てる。

カードは「収集・競技・年次」という三位一体の宗教装置。
財布にカードが増えていくのは、もしかすると私たちが“信者”だからかもしれません。

最後に

牛乳キャップは支流のスター

牛乳キャップは確かに90年代を語るうえで欠かせない存在です。
しかし本流の起点はタバコカードであり、日本ではメンコやカルビーが文化を育てました。POGsは「番外戦のスター」といったところでしょう。

カードは子どもの遊びから大人の投資、さらには文化的アイコンへと進化しました。
スマホ全盛の時代に「紙切れ一枚にこれほどの価値を託す」こと自体、逆説的なロマンを感じさせます。

最後に一言。
あなたの財布や引き出しに眠るカード
──それは単なる厚紙ではなく、時代と人間の欲望を閉じ込めた小さなタイムカプセルです。

捨てるか迷ったときは、ぜひ一度デュエルしてから決めてみてください。

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