日常のふしぎ
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人はなぜ行列を見ると並びたくなるのか? 行列が人を呼ぶ意外な仕組み

佐藤直哉(Naoya sato-)
<景品表示法に基づく表記>当サイトのコンテンツ内には商品プロモーションを含みます。

はじめに

旅行先で、お昼ご飯を食べる場所を探していたとします。

目の前には二軒のお店があります。

一軒はすぐに入れるほど空いているお店。
もう一軒は30人ほどが並んでいるお店です。

さて、あなたならどちらを選ぶでしょうか?

もちろん、空いているお店を選ぶ人もいるでしょう。

「並ぶくらいなら別の店へ行く」という人も少なくありません。

それでも、長い行列を見ると、

「そんなに人気なのかな?」

「何がおいしいんだろう」

と、一度は気になってしまう人は多いはずです。

不思議なのは、まだ料理を食べてもいないことです。

値段も、味も、サービスも知りません。

それでも僕たちは、「あれだけ人が並んでいるなら、きっと間違いない」と考えてしまうことがあります。

実はこの判断、人間の性格ではありません。

誰の脳にも備わっている、ごく自然な仕組みだったのです。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

人は商品よりも、人を見て判断している

「自分は周りに流されない」

そう思っている人も多いでしょう。

ところが、人間は想像以上に周りの行動を参考にしています。

そのことを示した有名な実験があります。

1968年、心理学者スタンレー・ミルグラム氏らは、ニューヨークの街角で実験を行いました。

一人だけが空を見上げても、ほとんど誰も立ち止まりません。

しかし十数人が同じ場所を見上げると、通行人も次々と足を止め、一緒に空を見始めました。

空に何があるのかは分かりません。

それでも「みんなが見ている」という事実だけで、人は自分も見たくなるのです。

これが「社会的証明」と呼ばれる心理です。

行列も同じです。

僕たちは料理を見て店を選んでいるようで、実際には先に並んでいる人たちを見て判断しています。

商品を選んでいるつもりが、人を選んでいる。

少し意外ですが、それが人間らしいところなのかもしれません。

行列は、商品の価値まで変えてしまう

行列は順番待ちの列ではありません。

ときには、商品の価値そのものを変えてしまいます。

たとえば、限定ラーメンや新型スマートフォンに長い列ができていると、「そんなに人気なら特別なんだろう」と思ってしまいます。

もちろん、本当に人気だから並んでいる場合もあります。

しかし人は、「手に入りにくいものほど価値がある」と感じやすい生き物です。

さらに面白いのは、待つ時間が長いほど期待まで大きくなることです。

「これだけ待ったんだから、おいしいはず」

「ここまで並んだんだから、きっと買ってよかったはず」

そんな気持ちが、商品の見え方を少しずつ変えていきます。

つまり、行列は商品を変えるのではありません。

変わっているのは、それを見る僕たちの心なのです。

一番変わるのは、並んだあとの自分

行列の本当の不思議は、並ぶ前ではありません。

並び始めてからです。

たとえばラーメン店で30分待ったとします。

あと少しで入れそうなのに、「やっぱり帰ろう」と思う人はあまりいません。

ここで帰れば、30分が無駄になるように感じるからです。

心理学では、これを「サンクコスト効果」と呼びます。

さらに、自分の後ろにも人が並び始めると、不思議と安心します。

待ち時間は同じです。
料理もまだ食べていません。
それでも、「自分の判断は正しかった」と感じやすくなるのです。

後ろに並んだ人は、料理のおいしさを証明してくれたわけではありません。

それでも、人が増えるだけで安心してしまうのです。

行列は、人を集めるだけではありません。
一度その中へ入った人の気持ちまで、少しずつ変えてしまいます。

待ち時間まで「商品」になっている

「長く待たされる店はサービスが悪い」

そう思いたくなります。

ところが、人気のテーマパークは少し違います。

アトラクションへ向かう列には、景色や音楽、小道具、物語が用意され、待ち時間そのものが楽しめるよう工夫されています。

人が苦手なのは、待つことではありません。

何も起きない時間です。

反対に、見るものがあり、発見があり、「もう少しで着く」という期待があれば、同じ時間でも短く感じられます。

だからテーマパークでは、「どう並ばせるか」まで大切にしています。

待ち時間も、体験の一部だからです。

考えてみると少し不思議です。

本来なら早く終わってほしい時間が、場所によっては「楽しかった時間」に変わってしまうのですから。

最後に

僕たちは、商品を選んでいるつもりです。

けれど実際には、人を選んでいることがあります。

「あれだけ並んでいるなら、おいしいはず」

「みんなが買っているなら、間違いない」

そんな小さな判断が、一人、また一人と次の人を呼び込み、一本の長い行列を作っていきます。

そして、その誰かもまた、別の誰かを見て並び始めたのかもしれません。

最初の一人が誰だったのかは分かりません。

でも、その一人がいなければ、あの長い行列は生まれなかったでしょう。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、小噺を発信しています。
どうぞ、ふらりと覗いてみてください。<br> たぶん気にはなっても明日使えるような話ではないと思います。
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