筋トレが続かないのは才能のせいじゃない――9割が脱落する世界で、なぜか習慣になる人の共通点
はじめに

あなたがダメなのではなく、世界がそうなっている
「今年こそ筋トレを習慣にする」
この一文を一度も書いたことがない人は、かなり希少です。
というか、もはや伝説級。
ほとんどの人は、年に一度くらい、この決意を新品のまま心に貼り付けています。
お正月、誕生日、健康診断の帰り道。
人は節目になると、なぜか根拠のない自信が湧いてきます。
「今の自分ならいける気がする」という、あの感じ。
その勢いでスクワットを始め、数週間後には何事もなかった顔で日常に戻ります。
そしてダンベルは部屋の隅へ移動し、「いつか使う予定だった物ランキング」上位に食い込んでいく。

ここで一度、深呼吸してください。
筋トレが続かないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
むしろ逆で、続かないほうが自然です。
これは優しさでも励ましでもなく、現実の話。
なぜそうなるのか。
気合が足りないから?
根性がないから?
それとも才能?
……全部違います。
筋トレが続かない人が大量発生するのには、ちゃんとした理由があります。
しかもその理由、ほぼ全員に当てはまる。
少し肩の力を抜いたまま、その話をしていきましょう。
「ああ、だから自分もダメだったのか」と笑えてきたら、それで十分です。
※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。
筋トレは、途中でやめる人のほうが圧倒的に多い

ここで、いきなりですが現実の話をします。
心の準備はいいですか。
筋トレや運動は、始めた瞬間から「やめる可能性」とセット販売されています。
半年以内にフェードアウトする人は珍しくありませんし、1年後も続いている人は、だいたい友人代表スピーチを任される側です。
10人で「よし、筋トレやろう!」と声をそろえたとして、1年後に残っているのは1人いるかどうか。

ゲームで言えば、キャラメイクを終えた直後に9人がログアウトしている状態です。
理由は不明。
たぶん眠くなった。
ここで一度、声を大にして言っておきたいことがあります。
続かなかった人が異常なのではありません。
続いた人が、たまたま最後までログインしていただけです。
だからまず、「自分は意志が弱いのでは?」という疑いは、そっと脇に置いてください。
この前提がないと、話が全部しんどくなります。
胸ポケットではなく、もうポケットの底に入れておきましょう。
「21日で習慣化」は、話としては美しすぎる

よく聞くフレーズがあります。
「習慣は21日で身につく」
言いたいことは分かります。
短い、覚えやすい、しかも希望がある。
カレンダーに丸を3週間つけたら人生が変わりそうな気がする。
気がするだけですが。
残念なお知らせがあります。
現実は、そんなにサービス精神旺盛ではありません。
習慣が「考えなくてもやる状態」になるまでには、平均で約66日かかると言われています。
しかもこれは平均値。
早い人もいれば、「え、まだ慣れないんだけど?」という人も普通にいます。
つまり、こういう話です。
- 3週間続かなかった → ああ、やっぱり自分はダメだ
ではなく、
- 3週間で楽になると思っていた → 期待値の設定ミス
こっちが正解。

筋トレを始めて1〜2か月のあいだ、
「めんどくさい」
「今日はいいか」
が毎日顔を出すのは仕様です。
初期装備です。
外せません。
それを「怠け」と呼ぶのは、人間に対して厳しすぎる。
スマホで言えば、初期設定が3割終わったところで「もう全部使いこなしてるよね?」と聞かれている状態です。
無理です。
まだログインすら怪しい。
続いていないのではなく、まだ途中なだけ。
ここを勘違いすると、全員だいたい同じところで脱落します。
最初から全力で人生を変えようとする

筋トレが続かない人ほど、なぜかスタート地点でこう宣言します。
- 週5でジム行く
- 毎回、魂が抜けるまで追い込む
- 食事も完璧に管理する
……待ってください。
それ、最終回で流れるBGMです。
まだ第1話です。
オープニングが終わったばかり。
習慣ができていない状態で全力を出すと、どうなるか。
- 体はしんどい
- 時間はゴリゴリ削られる
- 見た目は「変わった?…気のせい?」
という三重苦が、丁寧に襲ってきます。

ここで一度、立ち止まって考えてみてください。
そのペース、来週の自分でも戻ってこれますか?
大事なのは「正しい量」でも「理想の量」でもありません。
正解は、戻ってこられる量。
筋トレ初心者に必要なのは、根性や覚悟ではなく、
「まあ、これならまたできそうだな」と思える余白です。
その余白がないと、人はだいたいフェードアウトします。
しかも突然に。
「時間がない」は、だいたい本当

「忙しくて筋トレする時間がない」
はい、出ました。
殿堂入りワードです。
でもこれ、言い訳かと言われると……だいたい本当。
全員忙しい。
ヒマな大人、ほぼ絶滅危惧種です。
問題は忙しさそのものではなく、ここです。
時間ができたらやろう
この一文、未来永劫かなわない願いとして有名です。
なぜなら、時間というのは「できるもの」ではなく、「奪われるもの」だから。
放っておくと、仕事とスマホと疲労に根こそぎ持っていかれます。
じゃあ、続いている人は超人なのかというと、全然そんなことはありません。

彼らがやっているのは、気合ではなく配置換えです。
- 帰宅したら、視界にマットが入る
- ウェアがタンスではなく、すでに外に出ている
- 「いつか」ではなく、曜日と時間が決まっている
つまり、「やるかどうか」を考えない仕組みを先に作っている。
意志で戦おうとすると、だいたい負けます。
人間ですから。
だから、環境で勝つ。
これはズルではなく、生活の知恵。
むしろ、ちゃんと大人をしている証拠です。
筋トレは、努力がすぐバレるわりに報酬が遅い

筋トレのいちばん理不尽なところは、ここです。
やった瞬間に、
- 疲れる(即)
- 筋肉痛が来る(翌日)
- 時間が消える(確実)
と、請求書だけは秒で届く。
ところが肝心の成果はというと、
- 見た目の変化は数か月後
……遅い。
とにかく遅い。
この「支払いは前払い・報酬は後日振込」システム、人間の性格と致命的に相性が悪いんです。
そりゃ途中で解約します。
だから必要なのは、「筋肉がつくまで我慢」ではありません。
その日その場で報われる仕組みです。

- カレンダーに丸をつける(雑でOK)
- 回数をメモする(ドヤらない)
- 「今日はやった」と小声でつぶやく(誰も聞いてない)
こういう小さな達成感を、どんどん前倒ししていく。
筋肉が育つ前に、まず気分を育てる。
気分が残れば、人はまた戻ってきます。
筋肉は、そのあとで十分です。
自信が育つ前に、自分を嫌いになる

ここ、かなり多くの人が静かにつまずくポイントです。
毎回「今日も限界までやるぞ」と気合十分で臨むと、どうなるか。
- 達成感より先に疲労が来る
- なんなら軽く自己嫌悪もセットで付いてくる
- 次回のハードルが、勝手に一段上がる
そして数日後、トレーニングの予定を見た瞬間に、心の中でこうつぶやく。
「……また、あれをやるのか」
はい、もう負けフラグが立っています。
敵は筋肉ではなく、気持ちです。

最初の数週間に必要なのは、感動でも達成感でもありません。
- 必ずできる
- やってもそこまで疲れない
- 終わったあと、ちょっとだけ気分がいい
このくらいで十分。
むしろ物足りないくらいが、次に戻ってくる余白になります。
「今日もできたな」という小さな成功体験は、才能や根性よりずっと信用できる燃料です。
派手さはありませんが、これが一番長く走れます。
まずは“週2”を軸に、毎日は「思い出す」

ここまで読んで、「じゃあ結局どうすればいいの?」と思った方。
安心してください。
答えは相変わらず地味です。
ただし、さっきより少し現実的にします。
まず大前提として、筋トレは週2回で十分です。
これは変わりません。
ただし、ここで多くの人がこう思うはずです。
「週2だけだと、そもそも存在を忘れそうなんだけど?」
……そう、かなり多くの人が同じところで引っかかります。
人は「やらないこと」を、驚くほどあっさり記憶の外に追いやります。
筋トレも例外ではありません。
存在感、放っておくとわりと簡単に消えます。
なのでおすすめなのは、こうです。

本番は週2回。
思い出すだけの日を毎日。
どういうことかというと、
- 週2回:ちゃんとやる日(10〜15分でOK)
- それ以外の日:思い出すだけの日
「思い出すだけの日」は、
- スクワット1回
- 腕立て伏せ1回
- ストレッチを1つだけ
- なんならポージングや柔軟体操だけでも良し
このレベルで十分です。
運動というより、点呼です。
「はい、今日も筋トレという概念は生きてます」
それを自分に確認するだけ。

毎日ガッツリやる必要はありません。
むしろ、やらなくていい。
でも、完全に何もしない日を作らない。
これだけで、「忘れてフェードアウト」はかなり防げます。
完璧なメニュー? いりません。
ちゃんとやる日は週2回で合格。
思い出す日は1回動けば満点です。
筋トレで一番大事なのは、追い込むことでも、頑張り続けることでもありません。
日常の中から、存在を消さないこと。
派手さはいりません。
強度は週2で回収する。
あとは、毎日ちょっと思い出す。
それだけで、驚くほど戻ってこれます。
最後に

続かなかった過去は、全部素材になる
筋トレが続かなかった過去は、失敗ではありません。
……と、ここで言い切らせてください。
反論は受け付けますが、聞くだけです。
続かなかった理由は、だいたいこの二つに集約されます。
- 期待値が高すぎた
- 仕組みを知らなかった
才能がないわけでも、根性が腐っていたわけでもない。
ただ設計図を持たずに走り出していただけ。
66日。
この数字を見て「長っ」と思ったなら、正常です。
むしろ健康。
だから次は、その66日を“完璧にやる期間”にしなくていい。
雑でいいし、疑っていいし、途中でサボってもいい。

ダンベルは、今日も部屋のどこかで静かに待っています。
責めてもきませんし、説教もしません。
優秀な道具です。
次に手に取るときは、気合や覚悟は置いてきてください。
「まあ、ちょっとだけやるか」くらいでちょうどいい。
そのくらいの軽さのほうが、なぜか一番、長く続きます。

