最近ずっと機嫌が悪い人へ。――運動すると、なぜか人生が少しだけマシに感じられる話
はじめに

その不機嫌、性格じゃなくて“座りすぎ”かもしれません
朝からなんとなく機嫌が悪い。
別に嫌なメールが来たわけでも、誰かに怒られたわけでもない。
なのに心の中が、薄曇り。天気で言うと「降りそうで降らない」
こういうとき、人はだいたい原因を内側に探し始めます。
「自分、情緒不安定なのかな」
「もう若くないってこと?」
「いや、これは社会が悪い」
――はい、いったん深呼吸。
その自己分析、ちょっと早いです。
その前に一つだけ、確認させてください。
今日は、どれくらい体を動かしましたか?

胸に手を当てなくて大丈夫です。
答えがだいたい想像できてしまうあたり、
たぶん仲間です。
安心してください。
ここは、
運動不足の人が、運動不足のまま読んでいい場所です。
運動が好きな人は、たぶんもう外を走っています。
ここに残っている時点で、私たちは同じ側です。
※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。
運動は、気分をごまかさずに“中から直してくる”

ここで一度、話をまとめます。
早めに言っておかないと、人はだいたい途中で忘れるので。
運動をすると、脳内のあれこれ・ストレスの反応・生活のリズム・気持ちのクセが一斉に動き出す
これが、運動すると機嫌が少し良くなる理由です。
前向きに考えようとしなくても大丈夫。
気合も、自己暗示もいりません。
体を動かすと、脳と体が勝手に「まあ悪くないか」という方向に舵を切ります。

ここが重要なので、もう一度言います。
あなたが頑張って明るくなっているわけではありません。
明るくなってしまう状態に、連れていかれているだけです。
しかもこの話、気休めではありません。
アメリカ心理学会や厚生労働省といった、
わりと真面目で慎重なところも、
「運動は不安や落ち込みの軽減に役立つ可能性がある」と公式に言っています。
つまり、
「運動すると元気になる」は精神論ではなく、わりと公に認められている話。
疑っていた人ほど、
ここで少し黙ってしまうタイプのやつです。
「それ、気のせいじゃない?」にちゃんと答える話

ここまで読むと、こう思った人もいるはずです。
「いやいや、気分が良くなった“気がする”だけでしょ?」
「それって主観じゃない?」
はい、そのツッコミ。
正解です。
なので、ここからは人情をいったん脇に置いて、数字を出します。
急に真顔になりますが、安心してください。すぐ戻ります。

2024年・BMJのメタ解析
世界中で行われた、ちゃんとした実験(ランダム化比較試験)を
かき集めて、まとめて、比べた結果――
- ウォーキング
- ジョギング
- ヨガ
- 筋トレ
このあたりの運動は、
うつ症状を「中等度」改善すると確認されました。
ここで大事なのは、
「一部の意識高い人が奇跡的に回復した」ではない点。
やった人たちが、平均してちゃんと良くなった。
根性論でも、自己暗示でもありません。
やったら、だいたい良くなる。
この事実、地味ですが強いです。

2024年・JAMAの歩数研究
さらに拍子抜けするくらい分かりやすいデータもあります。
- 1日7,000歩以上歩く人は
- それより歩かない人に比べて
- うつのリスクが約3割低い
7,000歩。
気合の入ったランニングではありません。
マラソンでもありません。
ちょっと多めに歩いている人、それだけです。
つまり何が言いたいかというと、
人間のメンタルは、
思っている以上に、足で管理されている
という、わりと身もフタもない話。
人間、やっぱり思っているより単純です。
なぜ気分が上がるのか?脳内で起きていること

ここから先は、体を動かしたときに
あなたの頭の中で何が起きているのか、という話です。
難しそうに聞こえますが、大丈夫。
登場人物は少なめ、専門用語も最小限。
しかも全員、わりと働き者です。

セロトニン:心のブレーキ役
セロトニンは、
暴走しがちな気分にそっとブレーキをかける係。
- 不安をなだめ
- 気持ちを落ち着かせ
- 「まあ最悪ではないか」と思わせる
だいたいこの辺を担当しています。
有酸素運動をすると、この人がちゃんと仕事を始めます。
散歩のあとに
「さっきまでのイライラ、何だったんだろう?」
となるのは、
あなたが大人になったからではなく、セロトニンが働いたからだったりします。

ドーパミン:ご褒美を配る係
ドーパミンは、
成果に対してスタンプを押す担当です。
- 動いた
- 終わった
- 今日の自分、悪くない
はい、ご褒美。
運動は、このドーパミンを非常に効率よく呼び出します。
ジム帰りに、
特に何も成し遂げていないのに
自己肯定感だけ高い状態になることがありますが、
それは錯覚です。
そして同時に、
脳内では正常な反応です。

エンドルフィンと、今どき主役のエンドカンナビノイド
昔から知られているのがエンドルフィン。
体の痛みを和らげ、気分を持ち上げる役目です。
そして最近、
「ランナーズハイの正体、こっちじゃない?」
と注目されているのがエンドカンナビノイド。
こちらは脳に届きやすく、
運動後の
「理由はないけど、落ち着いている」
という状態を作ります。
問題が解決したわけでも、
人生が好転したわけでもないのに
気分だけ軽い。
それ、脳が仕事をしている証拠です。

BDNF:脳の調子を底上げする裏方
最後にBDNF。
派手さはありませんが、かなり重要です。
この物質が増えると、
- 記憶しやすくなり
- 集中しやすくなり
- 全体的に頭の回転がマシになります
結果として、
感情も安定しやすくなる。
気分が良くなるというより、
気分が荒れにくくなる。
運動がメンタルに効く理由は、 こうした人(脳内物質)たちが 裏でまとめて働いているからです。
心理面でも効く理由:考えすぎが止まる

ここで少し、心の話をします。
といっても難しい話ではありません。
あなたが一人で布団に入ったとき、
なぜか始まるあの現象の話です。
「あのとき、ああ言えばよかった」
「将来どうなるんだろう」
「そもそも人生これで合ってる?」
はい、出ました。
考えても仕方ないこと選手権・夜の部。
ところが運動中、これが不思議とできません。
息は上がる。
足は勝手に前へ出る。
呼吸の回数を数えているうちに、
さっきまでの壮大な悩みはどこかへ行く。

脳としては、
「今はそれどころじゃない」
という判断です。
これが、
悩みをグルグル考え続ける状態が一時停止される理由。
問題そのものは、
正直言って何も解決していません。
でも、
心だけは確実に軽くなる。
これ、かなり大きい変化です。
悩みは
解決するより先に、
いったん黙らせたほうが楽なこともある。
運動は、その役を
黙って引き受けてくれます。
今日からできる現実的な運動

ここで、急に現実の話をします。
急ですが大丈夫です。
走り出したりはしません。
完璧な運動習慣?
はい、その時点でだいたい続きません。
なので最初から、ハードルは地面すれすれに置きます。
やることは、これだけ。
- 10分、歩く
- 週に数回でいい
- できれば外(天気が悪ければ無理しない)
これで十分です。
本当に。
「え、そんなので意味あるの?」
あります。
むしろ、それくらいが一番意味あります。
なぜなら、
人は“気合を入れた瞬間”から挫折のカウントダウンが始まるから。
大事なのは、
「やる気がある日に頑張る」より、
「やる気がなくてもできてしまう形」にしておくこと。
靴を履く。
外に出る。
歩く。
考えるのは、それだけ。
運動を習慣にするコツは、
自分を奮い立たせることではなく、
自分をサボれない状況にそっと置くことです。
注意点:頑張りすぎない

ここで水を差すようですが、大事な話です。
運動は多ければ多いほど良い……
という顔をして、わりと平気で裏切ってきます。
- 長時間
- 高頻度
これをやると、どうなるか。
最初は
「よし、変わってきた!」
と気分が上がり、
次に
「今日は疲れてるだけ」
と言い訳が始まり、
最後は
「もう一生やらなくていい気がする」
――はい、解散。
よくある流れです。拍手。
運動で大事なのは、
自分を追い込むことではありません。
追い込まれた自分が逃げ出さないことです。
なので目安は、
終わったあとに
「もうちょっとできたかも?」
と思うくらい。
物足りない。
でも嫌じゃない。
この微妙なラインこそ、
長く続く人だけが知っている安全地帯です。
最後に

気分を変える最短ルート
人生を前向きにしようとすると、
人はだいたい壮大なことを考え始めます。
環境を変える?
考え方を変える?
人生を見つめ直す?
……いや、いったん落ち着きましょう。
話が大きい。
実際に効くのは、もっと地味なことです。
- 靴を履いて
- 外に出て
- 少し歩く
これだけ。
引っ越しもいらないし、決意表明も不要です。

すると脳が、勝手にこう判断します。
「今日は、そこまで悪くないな」
ポイントはここです。
気分が上がったから動くのではなく、
動いた結果、気分があとから追いついてくる。
なので、
気分が落ちているときほど、
自分を責めるより先に、体を動かしてみてください。
うまくいけば気分が良くなるし、
うまくいかなくても、少し歩いたという事実は残ります。
それだけで今日は合格。
人生を立て直すには遠く及ばなくても、
今日をやり過ごすには、
それで十分だったりします。

