日常のふしぎ
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ミネラルウォーターは“水”を売っていない⁉値段の差は、ボトルと物流とブランドで決まる話

佐藤直哉(Naoya sato-)
<景品表示法に基づく表記>当サイトのコンテンツ内には商品プロモーションを含みます。

はじめに

コンビニの棚で起きた、小さな哲学

夜のコンビニ。
仕事帰りのあなたは、冷蔵棚の前で静かに立ち尽くす。

右手には100円ちょいの水。
左手には、同じ500mlのはずなのに「え、君ちょっと強気だね?」と言いたくなる水。

中身はどちらも透明。
香りもなし。
味も…たぶん同じ。

なのに値段が違う。

これ、冷静に考えるとわりと不思議です。

「水が違うからでしょ?」

もちろん、そういう場合もあります。

でも結論から言うと、ミネラルウォーターの価格差は“水質”だけでは説明できません。

むしろ本丸は、水以外にあります。

今回は、ミネラルウォーター業界を
“水のビジネス”ではなく“透明な商売の教科書”として分解してみます。
ビジネス好きがニヤリとする角度で。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

「ミネラルウォーター」は1種類じゃない

■まず前提から

世の中には
「天然水」
「ミネラルウォーター」
「ボトルドウォーター」
など、似たような言葉が並んでいます。

これ、ざっくり言うと表示ルールの世界です。

  • ナチュラルウォーター
    特定水源の地下水。
    余計な処理はしない(沈殿・ろ過・加熱殺菌など最低限)
  • ナチュラルミネラルウォーター
    上に加えて、地層でミネラルが溶け込んだ地下水
  • ミネラルウォーター
    ミネラル調整、混合、ばっ気(水に空気を含ませて成分や味を安定させる処理。炭酸水のようにシュワシュワさせるわけではない)などで品質を安定させる場合も
  • ボトルドウォーター(飲用水)
    上記以外(表示や基準が別)

ここで重要なのは、
「“天然”と名乗るには条件がある」ということ。

つまり“天然”は、詩的なポエムではなく、ビジネス上の称号です。

そして称号は、だいたい高い。

(ブランドとは、だいたい“肩書き”でできている。)

ミネラルウォーター業界のビジネス構造

■価値は「水」より周辺で作られる

ミネラルウォーターの価値は、ざっくりこう作られます。

①容器(ボトル)
②運ぶ(物流)
③売る場所(チャネル)
④信頼(ブランド)

水そのものは、もちろん大事。

でも“価格差”を生みやすいのは、だいたいこの周辺です。

プレイヤーを並べると、こんな感じ

  • 採水・工場(ボトラー)
    採水、殺菌(または無処理)、充填、品質管理
  • 包材(PET、キャップ、ラベル、段ボール)
    ここが地味にコストの主役
  • 物流(幹線輸送+地域配送)
    重い・かさばる=運賃の影響が大きい
  • 卸・小売・自販機オペ
    販路によって“売り方の常識”が変わる
  • マーケ
    水は差別化しづらいので、ここが勝負どころ

要するに、ミネラルウォーターは
「透明なのに、関係者がめちゃくちゃ多い商品」なんです。

透明なのは水だけで、構造はけっこう濃い。

なぜ同じ水なのに値段が違うのか?

■ビジネス的な3大要因

採水地のブランド力=“原価”じゃなく“価格”を押し上げる装置

要因①

水は味で語ると、だいたい地獄を見ます。

「この水は、口当たりが…」

いや、分かる。
分かるけど、忙しい現代人は水の口当たりを吟味する前に会議が始まってしまいます。

だからこそ、採水地が効く。

  • 「南アルプス」
    「北アルプス」
    「奥大山」
    「阿蘇」
    など、地名を明確に立てて“水源そのもの”をブランド化する
  • 複数の採水地を持ち、安定供給とリスク分散を両立する
  • 海外プレミアムは
    「フレンチアルプスの単一ソース」
    「長い地層旅」
    など、“出自の物語”を作る

これって、ワインやコーヒーの産地戦略に近いのではないでしょうか?

水源=調達先ではなく、ブランド資本。

同じH2Oでも、「どこから来たか」は値札に直結します。

(人間だって、同じ実力でも“どこの出身か”で扱いが変わること、ありますよね。ありますよね?)

輸送コスト=水は“運賃に弱い商材”の代表格

要因②

水は重い。
そして単価がそこまで高くない。
さらにかさばる。

つまり、物流の三重苦

だから水は、値段のかなりの部分が「運ぶ」に持っていかれます。

特に分かりやすいのが、売り場による価格差

  • スーパー:価格勝負。まとめ買い・2Lが強い
  • コンビニ:利便性勝負。500mlが主役
  • 自販機:即時性勝負。最も“便利税”が上乗せされやすい

同じ水でも、
「冷えてる」
「今すぐ」
「片手で買える」
という条件が揃うと、
人間はだいぶ財布の紐がゆるみます。

これは合理性というより、ほぼ心理学

あなたが買っているのは水ではなく、
“今この瞬間の快適さ”です。

(あと、喉の渇きは意思決定を雑にする。喉は投資家の天敵。)

ボトル(容器)=コストであり、差別化メディア

要因③

ミネラルウォーターの原価の主役は、しばしば水ではなく容器。

PETボトル、キャップ、ラベル、段ボール

これらは地味ですが、現実の世界では主役級。

さらに近年は、容器が「環境対応」とも直結します。

  • 軽量化して輸送効率アップ(=コストにもCO2にも効く)
  • しぼれる、つぶせる、持ちやすい(=体験として残る)
  • ラベルレス、リサイクルPET(=価値観で選ばれる)

ここで面白いのは、容器の工夫が
「コスト削減」「ブランド強化」を同時にやれること。

容器は、ただの入れ物ではなく、

触感・デザイン・思想まで運ぶ“広告媒体”です。

水が無口だから、ボトルが喋っているイメージです。

マーケティング戦略の比較

■同質化する水を、どう売り分けるか

水は「味で殴り合う」のが難しい
だから、戦い方が分かれます。

① 国産大手:安定供給×水源ストーリー×信頼(王道)

王道は強い。
水源の違いを分かりやすく見せて、
「森」
「自然」
「清冽さ」
といった情緒の一貫性で積み上げる。

ここは“長期投資型”

地味だけど、勝ちやすい。

(結局ビジネスは、派手な勝利より“続く仕組み”が強いということなんでしょうね)

② 国産大手:容器体験×サステナ(プロダクトで語る)

ボトルの軽さ、しぼれる感じ、ラベルレス。

「飲みやすい」だけじゃなく、
「捨てやすい」
「環境にいい」
まで体験させる。

ここは“体験設計型”

棚の前で「なんか良さそう」が勝つ。

③ 輸入プレミアム:原産地×歴史×ラグジュアリーを連想

海外のプレミアム水は、物語が長い。

「この水は○○の地層を…」

と、気づけば歴史ドラマが始まる。

でも、それが効く。

なぜなら人間は、
“ストーリーにお金を払う生き物”だから。

(推し活と同じ仕組みです。水も推せる時代。)

そして輸入は、為替や国際物流の影響も受けやすい。
値段が上がるときも、理由がいろいろ乗ってきます。

水が安いんじゃない、設計が安い

■PB(プライベートブランド)が安い理由

PBの水が安いと、ついこう思います。

「え、じゃあNB(ナショナルブランド)はボッタクリ?」

いや、落ち着いて。

PBが安いのは、たいてい味の差というより設計の差

  • 広告費を抑える
  • 中間の商流を短くする
  • 仕様を絞って大量に作る
  • 小売の棚(配荷)を確保しやすい

つまりPBは、
“余計な装飾を削って機能を残す”モデル。

家電で言えば、余計な機能のないシンプルモデル。

水で言えば、
「しゃべらないけど仕事はする同僚」みたいな存在です。

じゃあ結局、私たちは何にお金を払っているの?

■まとめ

ここまでの話を一言で言うと、こう。

ミネラルウォーターは、水を売っているようで、実は“設計”を売っている。

  • どこで採れたか(ブランド)
  • どう運ばれてきたか(物流)
  • どんな器に入っているか(容器)
  • どこで買うか(チャネル)
  • どんな気分になれるか(マーケ)

値段の差は、
あなたが「水」に見えているものの外側に、たっぷり詰まっています。

そしてそれは、
良い悪いではなく、ビジネスとして自然なこと

だって、同じ白いTシャツでも
ブランドが違えば値段が違う。

水も同じです。

透明なだけで。

最後に

次に水を買うとき、棚の前で思い出してほしい

次にあなたがコンビニで水を手に取るとき。

値札を見て、ふと思ってほしいんです。

「私はいま、水を買ってるんだっけ?」

たぶん答えは、半分YESで、半分NO。

あなたは同時に、
“運ばれてきた安心”
“冷えてる幸せ”
“このブランドなら間違いないという気分”
買っています。

水は無味無臭。

でもその周りには、
人の欲望、習慣、安心、そしてちょっとした見栄が、
しっかり溶け込んでいる。

——そう考えると、
ただの水が急に、少しだけ面白く見えませんか?

透明なボトルの中に、
人間社会の構造が映っている。

そんな気分で一口飲む水は、
いつもより少しだけ、うまい。

(たぶん。気のせいかもしれません。気のせいでも、自分がそう思えたなら勝ちです。)

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
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