ゲームの話
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止めたいのに指が勝手に…ソシャゲの“ガチャ沼”が生まれる仕組み

佐藤直哉(Naoya sato-)
<景品表示法に基づく表記>当サイトのコンテンツ内には商品プロモーションを含みます。

はじめに

「うわ…また天井コースだ……」

スマホの前で天を仰ぎながら、なぜかもう一回『10連』ボタンに指が伸びている──。

もしこの光景に心当たりがあるなら、あなたは立派な“現代ソシャゲ市民”です。

ようこそこちら側へ。

気づけば財布の紐まで操作してくる“謎の力”
──その正体がガチャです。

今回はソシャゲのガチャについて、収益の仕組みや心理的な「からくり」から紐解いていきましょう。
読み終わる頃には、「なんで自分はあのときガチャを回してしまったのか」が、ちょっとだけ言語化できるはずです(だからといって次のガチャを止められるとは限りませんが……)。

※本記事は筆者個人の感想をもとにエンターテインメント目的で制作されています。

ソシャゲの売上は“3つの数字”で決まる

まずは冷静に、ソシャゲ運営の家計簿をのぞいてみましょう。

日本のゲーム分析界隈でよく出てくる有名な式があります。

1日の売上 = DAU × 課金率 × ARPPU

難しそうに見えますが、分解するとシンプルです。

  • DAU(Daily Active Users):その日ゲームを開いた人数
  • 課金率:その中でお金を払った人の割合
  • ARPPU:お金を払った人1人あたりがいくら使ったか

ざっくり言えば、

「毎日来る人が多くて、そのうちそこそこ課金してくれて、しかも一人あたりの金額が高いほど儲かる」

という、当たり前すぎる式です。

ここでガチャが狙っているのは、主にこの2つ。

  • 「一度くらい課金してみるか…」と課金率を上げる
  • 「もうちょっとで出そうだから…!」とARPPUをブチ上げる

そう、ガチャは運営から見れば、“課金率と単価を一気に伸ばすためのスーパー装置”なんです。

そもそもなぜ「ガチャ前提」のビジネスになるのか

ソシャゲの基本モデルは F2P(Free-to-Play)=基本無料 です。

インストールもプレイ開始もタダ

だからこそ、

  • 「ちょっとだけ触ってみるか」というライト層
  • 「暇つぶしにゲームでも」という非ゲーマー層

までを一気に巻き込める。

……が、タダで配っている以上、どこかで回収しないと会社が死にます。

そこで登場するのが、

  • スタミナ回復アイテム
  • 時短アイテム
  • お得なパック販売
  • そして 『ガチャ』

です。

この中で運営が一番ニヤニヤしながら見ているのがガチャです。

それはなぜか。↓

「期待値」じゃなく「ワンチャン」を売れるから

同じ3,000円を払うとして、

  • A:好きなキャラ・アイテムが確定で手に入るパック
  • B:超レアが“出るかもしれない”10連ガチャ

合理的に考えればAに行くべきですが、

「一発で引き当てたらめちゃくちゃ気持ちよさそう」

という体験の期待値はBのほうが高い

人間は、「確実にちょっと得する未来」よりも、「もしかしたらめちゃくちゃ得するかもしれない未来」に弱い生き物です。

投資でも同じことやってる人、心当たりないですか。

売上の“山”を自在に作れる

運営的には、

  • 新キャラピックアップ!
  • 限定ガチャ!
  • コラボガチャ!

とイベントを打つたびに、売上グラフにドーンと山が立ちます。

ゲームの売上が「給料日前の財布」みたいに右肩下がりになってきても、

「人気作品とコラボします!」

とやれば、またみんな帰ってきてくれる。

だからソシャゲ運営にとってガチャは、

集客装置であり、売上ブースターであり、延命装置でもある

という“万能薬”になりがちなんです。

実はほとんどの人は払っていない

ここで、ちょっと残酷な真実を。

多くのモバイルゲームでは、

  • 課金しているのは全体の 数%ほど
  • その中の ごく一部の「重課金勢」 が売上の半分以上を払っている

と言われています。

業界では、この人たちを Whale(ホエール)=クジラ と呼びます。

「おい、俺たちがクジラなら運営は漁船か?」と言いたくなりますが、ビジネスモデルとしてはだいたい合ってます。

F2Pは“多数の無課金+少数の爆課金”で成り立つ

基本無料ということは、

  • 無課金で遊ぶ多数のプレイヤーがいて
  • その人たちが“人の多さ”“盛り上がり感”を演出し
  • そこにごく一部のクジラがドカンとお金を落とす

という構造になります。

だから運営としては、

  1. とにかく人を減らさない(DAUをキープ)
  2. その中から「払ってもいいかな」という人を増やす
  3. さらに、その一部の人には“しっかり”払ってもらう

必要がある。

ここで役に立つのが、やっぱりガチャなんです。

  • 無課金でも「配布石」でガチャが楽しめる → DAU維持
  • ちょっと足りないから「少しだけ課金」 → 課金率UP
  • 好きなキャラが来ると「今日は記念日なので」 → ARPPU爆上がり

「いや、そんなうまくいくかよ」と思うかもしれませんが、うまくいくからこそ世界中でこの方式が採用されているわけですね。

ガチャは“人間のバグ”を丁寧に踏んでくる

ここからは、プレイヤー側の話です。

「頭では分かってるのに、なぜかガチャを回してしまう」のは、あなたの意思が弱いからではありません。

人間の脳みそ側にバグがあるからです(急に責任転嫁)。

代表的なポイントをいくつか。

可変比率スケジュール──スロットと同じ構造

心理学では、「いつ当たるか分からないけれど、一定確率で当たりが出る」
仕組みを 可変比率スケジュール と呼びます。

  • 何回目で当たるか分からない
  • でも、たまにドーンと当たりが来る

このタイプの報酬スケジュールは、

「人が行動をやめにくい」

ことが分かっています。

……はい、スロット、パチンコ、宝くじ、全部この仲間です。

そしてガチャも、しっかりこの構造になっています。

サンクコストと「ここまで来たら」の罠

10連を3回回しても推しが出ない。

そこで頭の中に浮かぶのは、

「ここまで回したのに、やめたらもったいない」

という感覚です。

これが サンクコスト効果

すでに使ったお金や時間は本来“戻ってこない”ので、次の意思決定には関係ないはずなのに、

  • 9,000円使った → ここでやめたら無駄
  • じゃああと3,000円だけ……

と、雪だるま式に膨らんでいくわけです。

回数だけは着実に増えていくのに、財布は痩せていくという、なんとも理不尽なループ。

FOMO──「今逃すと一生の不覚」ブースト

ガチャの大好物ワード、それが 「期間限定」「復刻未定」 です。

  • 〇月〇日まで!
  • この機会を逃すと二度と手に入りません!

と言われると、

「いや、今いらないけど、将来欲しくなったら最悪じゃない?」

という不安がムクムクと湧き上がります。

これが FOMO(Fear of Missing Out)=見逃すことへの恐怖

冷静に考えれば、「未来の自分が別のキャラ推してる可能性」なんていくらでもあるのですが、未来の自分より、今の不安のほうが強いのが人間なのです。

ギャンブルに似た刺激

ガチャは法的にはギャンブルと区別されていますが、構造的にはかなり似ています。

  • お金を払う
  • 偶然に左右される結果が出る
  • 成功すると「大きな報酬」が得られる

この三拍子が揃うと、脳内の報酬系がバチバチに刺激されてしまう。

「当たった瞬間の快感が忘れられなくて、また回してしまう」というのは、まさにそこを突かれている状態です。

規制と“ほどほど”にするための仕組み

さすがに野放しにするとよろしくない、ということで、日本でもいくつかの規制やガイドラインが整ってきました。

コンプガチャ禁止

かつては、

「このシリーズのカードを全部揃えると、さらに超レアがもらえるよ!」

という コンプガチャ がありました。

これがあまりにもエグくて、子どもが何十万円も使ってしまうケースが相次ぎ、2012年に景品表示法違反とされて事実上禁止に。

以降、あからさまに“揃えさせるタイプ”は消え、天井や確率表記など、多少はプレイヤーに優しい方向へ寄っていきました。

確率表示と天井システム

今は多くのゲームで、

  • レアごとの排出確率表示
  • 一定回数回したら必ずレアが出る「天井」

が導入されています。

「天井6万円です!」と言われて優しいかどうかは人によりますが、少なくとも昔の「底なし沼ガチャ」よりはマシになったのではないでしょうか?(それでも疑念は尽きませんが……)

それでも回してしまう僕らへ

ここまで読むと、

「いやもう、ガチャって人間の弱点をフルコンボで突いてくる悪魔のシステムでは?」

と思うかもしれません。

半分正解で、半分ハズレです。

ソシャゲ運営からすると、

  • 基本無料で膨大なサーバー費・開発費・人件費を賄う
  • コンテンツを継続的に追加し続ける

ためには、どうしても“どこかでしっかりお金を払ってくれる人”が必要です。

その現実と、人間の心理的なクセががっちり噛み合った結果が「ガチャ」という形になっている、というのが正直なところでしょう。

では、プレイヤー側はどうすればいいのか。

  • 「今、なんのバイアスを踏まされているのか」をうっすらとでも自覚する
  • いくらまでなら“エンタメ代”として笑って払えるかを決めておく
  • 給料日直後にだけはガチャ画面を開かない(重要)

このあたりが、現実的な自衛ラインかもしれません。

最後に

それでも僕らは「10連」の光を見る

ガチャは、

  • 企業にとっては“必要悪”でもあり主力エンジンであり
  • プレイヤーにとっては“分かっていてもやめられない”甘い罠であり
  • 社会にとっては“依存と健全化”のバランスを探る実験場

のような存在です。

「じゃあ明日からガチャ廃止で」と言われたら、多分多くのソシャゲはビジネスとして成り立たず、私たちは私たちで、

「配布石だけで淡々と遊ぶ世界」

に少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。

それくらい、ガチャは現代のゲーム体験に深く組み込まれています。

だからこそせめて、

「なぜソシャゲはガチャに頼るのか?」

という構造と、その裏にある心理設計を知っておくこと。

そして、

「今日はここまで」と笑ってアプリを閉じられるラインを、自分なりに決めておくこと。(熱くなりすぎない)

それが、ガチャとそこそこ仲良く生きていくための、ささやかなチートコードなのかもしれません。

──さて、この記事を閉じたあとにガチャ画面を開こうと思っている人は、そっとスマホを伏せて深呼吸してからにしましょう。

今ならまだ戻れます。
たぶん。

ABOUT ME
佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
文章を書くことを楽しむ自称・小説家です。
歴史や文化、日々の暮らしに潜む雑学を題材に、小噺や物語のタネになるエピソードを発信しています。
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