カードという文化
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なぜカードはあの形なのか?──無意識に愛される「最適化」

佐藤直哉(Naoya sato-)
<景品表示法に基づく表記>当サイトのコンテンツ内には商品プロモーションを含みます。

はじめに

財布から取り出すクレジットカード、コンビニでタッチするICカード、子どもの頃に夢中で集めたトレーディングカード──。

気づけば私たちの身の回りは「カード」だらけです。
けれど、誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

「なぜカードはいつもあの形なのか?」

実はそこには、国際規格・人間工学・そして人の目が好む比率という“三つ巴の最適化”が潜んでいるのです。

※本記事はエンターテインメント目的で制作されています。

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ISO規格が定めた「世界共通の寸法」

まずは基本の数字から。

カードの標準サイズは ISO/IEC 7810:2019 という国際規格で定められています。
いわゆる「ID-1」フォーマットで、その寸法は以下の通りです。

  • 幅:85.60mm
  • 高さ:53.98mm
  • 厚さ:0.76mm(0.68~0.84mmの範囲)
  • 角丸:半径約3mm

クレジットカード、銀行のキャッシュカード、社員証
──いずれもこの寸法で統一されています。

この統一があるからこそ、世界中のATMやカードリーダーで問題なく使えるし、財布のカードポケットにもきれいに収まる。

つまり「当たり前」の便利さは、ISOのエンジニアたちが築いた見えないインフラによるものなのです。

手になじむエルゴノミクス

「でも、なぜその寸法なのか?」という疑問は残ります。

ヒントは人間の手にあります。

人間工学のデータによれば、手のひらの幅は女性で約79mm、男性で約90mm。その中でカードの短辺は54mm。
これはちょうど“親指と人差し指でつまむ”動作に最適なサイズです。

さらに角は直角ではなく、半径3.18mmで丸められています。
これにより、ポケットや布を傷めにくく、取り出すときも指に刺さらない。
そして端末に差し込むときもスムーズです。

厚さも0.76mm前後に規定され、薄すぎず厚すぎずの絶妙なバランス。
こうして「扱いやすさ」が最初から緻密に仕込まれているのです。

黄金比との“ニアミス”

ここで少し数学的なお話を。

カードの縦横比(85.60 ÷ 53.98)は 約1.586
一方、「美しい比率」として知られる黄金比約1.618
その差はわずか 2%弱です。

つまりカードは黄金比に“限りなく近い”のです。

もちろん、ISOが芸術性を意識して黄金比を採用したわけではありません。
実用性から決まった寸法が、たまたま黄金比に近かっただけ。

けれども人間の目は正直で、「整って見える」「妙に落ち着く」と感じるのは、この“ニアミス”効果のおかげかもしれません。

テレビ画面や写真フレームも似た比率で作られているのは、視覚的な心地よさを求める人間心理の表れなんでしょうね。

紙モノ文化との接続

カードには兄弟サイズも存在します。

例えば「ID-2」と呼ばれるサイズは 105×74mm
これはISO 216で定められた「A7用紙」と同じ寸法系です。

つまりカード規格は、紙の規格ともきれいに噛み合うように設計されているのです。
役所の書類やパスポート用紙とカードがスムーズに共存できるのは、国際規格同士の“握手”があるからなのではないでしょうか。

「最適化」を愛する人間心理

ここまでをまとめると──

  • ISO規格による世界共通の互換性
  • 手に自然となじむ大きさと角丸
  • 黄金比に近い比率がもたらす安心感

この三つが、私たちに「カードはこの形が当たり前」と思わせているのです。

私たちは普段から“最適化されたもの”を好んで選んでいます。

スマホのサイズ感、リモコンのボタン配置、SNSの画面設計…。

どれも「扱いやすい」「見やすい」と感じるからこそ自然に受け入れているのです。

カードはその代表例。
毎日触れているからこそ気づかないけれど、その裏には「なるほど」と思わず唸る設計思想が隠れています。

最後に

財布に眠る工学と美学

クレジットカード一枚を手に取り、じっと眺めてみてください。
角の丸み、手に収まるサイズ、そしてどこか安心感を与える比率。

それは単なるプラスチック板ではなく、国際規格・人間工学・視覚心理が奏でる三重奏なのです。

「なぜカードはあの形なのか?」
──その答えは、

私たちが無意識に“最適化”を愛しているから。

財布の中には、日常に潜む工学と美学の結晶が静かに眠っているのです。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
佐藤直哉(Naoya sato-)
ブロガー/小説家
小説を書いていたはずが、いつの間にか「調べたこと」や「感じた違和感」を残しておきたくなりました。
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